望み喰らいし魔法使い
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男性だが下半身が黒茶色の馬の物となっているファントム・ケンタウロスは皇巳の拳を握ったまま勢い良く彼を投げ飛ばした。
「う…嘘だ…親父が…お袋が…琉妃がてめぇを守ってるなんて…そんな馬鹿な事が…!!」
皇巳は、投げ飛ばされた激痛が気にならない程自分の家族がファントムとなったばかりか、自分をも敵だと認識されてしまった現実を受け入れられず呆然としている。それを見たケンタウロス、そして、青と白を基調とした体色の女性の様な肉体をした二足歩行の鳥のファントム・ハルピュイアと上半身が水色の体色をした女性だが、下半身が魚の尾を生やし銀色の鱗を纏ったファントム・マーメイドが彼を襲うべくじりじり近付き、その命を奪おうとするが…
『アッ…グゥッ…お…皇巳…早…く…逃げ…ろっっ…!!』
「親…父…!!?」
突如ケンタウロスは頭を抱えて苦しみ出し、皇巳に逃げる様促し始めた。恐らく、まだファントムと化してたらそう時間が経って居ない為、僅かに残った宿主だった父の意識がファントムの動きを封じているのだろう。だが、それはケンタウロス(父)だけでは無い…。
『皇…巳…貴方だけでも…生き…て…!!』
『お兄ちゃん…まで…死んじゃ…嫌…!!』
母の意識もハルピュイアの、琉妃の意識もマーメイドの動きを封じ、唯一生き残った皇巳の身を案じ彼を逃がそうとしている。確かにこの隙に逃げる事は可能なのかもしれないが…
「お袋や琉妃まで…だが…俺は…!!」
家族の必死の抵抗に、皇巳は目を閉じながら歯を軋めて悔しげな表情をし、足を動かし勢い良く走り出し…
「しっかりするんだ琉妃!!」
何と逃げようとはせず、琉妃の意識が残っているマーメイドの肩を掴んで彼女に自分を取り戻すよう必死に呼び掛ける。家族の意識が僅かに残っているのなら、まだ助けられるかもしれない…その一縷の望みを皇巳は信じたのだ。
「親父もお袋も…まだ意識が残ってんなら自分を…俺達家族の事を思い出してくれ!!!!」
ケンタウロスやハルピュイアにも自分を取り戻すように声を掛ける皇巳。これまで築いて来た絆がファントムなんかに負けない、家族全員無事に生き残ろう…と。すると、マーメイドの様子に異変が…
「お…兄…ちゃん…!?」
「琉妃!!元に戻ったんだな!!?」
「うん…お兄ちゃんの声…はっきり聞こえたよ…。」
皇巳の必死の声が届いたのか、マーメイドの身体が水色に光り、琉妃の姿へと変化した。皇巳は一縷の希望と言う賭けに勝ったのだ。
「良かった…本当に…良かった…!!」
普段は人前で弱みを見せない程クールな性格をした皇巳だが、妹を救えた事が嬉しいのか、琉妃を力強く抱き締めながら涙を流している…。
「もう…お兄ちゃ
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