望み喰らいし魔法使い
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具合はどうだ?」
自宅に入った皇巳は、帰るや否やベッドで眠る彼と同じ髪の色をしたロングヘアーの双子の妹・琉妃(るき)に先程までの不機嫌そうな表情とは違う、穏やかなそれを見せて体調の心配をする。しかし…
「……。」
「…なんて…まだ完全に『戻ってない』のに何が具合はどうだだよ…ムカつくぜ…!!」
肝心の彼女は兄と同じ紅い瞳を見開いたまま、一言も話さないと、まるで「人形」の如く無表情だった。何やら只ならぬ事情の為か、流妃の具合を心配する事が無意味だと、自分自身に苛立つ皇巳。
「(あの時から決めている…流妃は、俺が命を懸けて元に戻す!!)」
皇巳は、人差し指に青紫色の海蛇の様な顔をした指輪を填めた左拳を握り締め、流妃を救う事を改めて誓いながら、あの日を遡る…。
―一年前
「親父!!お袋!!流妃!!皆何処へ行ったんだ…!?」
とある海岸に近い森の中、皇巳は突然姿を消してしまった父と母、そして流妃を必死で探し回っていた。当時王御一家は、この付近でキャンプに来ていており家族水入らずで楽しい一時を過ごしていた。そして、彼が用を足しに離れていた隙に自分以外の家族全員が居なくなり現在に至る…。
「ん、あっちの方から声がする…もしかしてこっちか!!?」
海岸側から声が聞こえてくる為、もしやそこに家族が居るのでは…?そう思った皇巳は急ぎ足で海岸まで走り出す。すると予想通り、父と母、妹の姿がそこにあり、更に何故か複数の人間が一カ所に集まっていた。
「何だそこに居たのか…皆!!どうし…!!」
家族が居た…そう安心した皇巳は彼等の下へと駆け寄って行く。だが次の瞬間思い知る事となる…。
「お兄…ちゃん…逃げ…グルァアアアアァァァァッッッッ!!!!」
「…え?」
これが家族最後の対面となる事を…。
『『『『グルァアアアアァァァァッッッッ!!!!!!!!』』』』
父や母、流妃だけで無く同じ場所に居合わせた人々は、突然獣の様な唸り声を上げながら全身に紫色の皹が広がり出し、それが砕けた瞬間…。
『クックックッ…!!』
『フッフッフッ…!!』
『ハァアアァァ…!!』
「お…親父…お袋…流…妃…!!?」
家族やその他の人間「だった」存在は、それぞれ獣の様な異形の存在…ファントムへと変わり果て、一部を除いた全員が突如発生した黒く禍々しい魔法陣を潜り消え去って行くと言う受け入れ難い光景に、皇巳は言葉を失う…。
『ふむ…取り敢えずサバトの実験結果は半分成功…と言ったところかな?』
「…っっ!!?」
そんな皇巳の背後から、灰色のフードを目深に被った紅い瞳の黒い骸骨の顔をしたファ
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