チワワとキツネ
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ネだった。勝利ポイントまであと2ポイント。ユウカは目の前の獲物を見据え、直ちに作戦を練っていた。
「ん?」
一方こちらは逆転を許した銀髪の人魚。確実にポイントにできるはずだったレオンを失った彼女は運任せで歩き回っていたのだが、突然その足を止めて後ろを振り返る。
(誰かいる?)
後ろから不意に視線を感じたソフィアはその場で踵を返し元来た道を逆戻りしていく。そして十字路に差し掛かったところで、こちらの様子を伺う真っ白な存在を視界に捉えた。
(チワワ!!)
彼女はその着ぐるみを見て、あまりの可愛らしさに頬を赤くさせる。少女の大きな瞳に映っているのは真っ白な毛で全身が覆われている小型の犬・・・チワワだった。
(か・・・可愛すぎる!!)
チワワの全身をマジマジと見つめている少女は、少しずつ少しずつテンションが上がっていく。
(どうしよう・・・中身はどうでもいいからとりあえずモフモフしたい・・・!!)
普段はセクハラ行為を繰り返しているとはいえどもさすがに女の子、可愛いものには目がない様子。なのでソフィアは、相手に何も伝えることなくいつものように抱き付こうとした。しかし・・・
ヒョイッ
チワワの着ぐるみはまるで予知していたかのように後ろに下がり彼女の魔の手から逃れていた。
(え?)
ずいぶんとあっさりと回避されたことに驚愕の表情を浮かべるソフィア。試しにもう一度抱き付いてみようと足に力を入れると、すでに相手はいつでも避けることのできる体勢になっており、これ以上は無意味だと断念した。
だがそれと同時に、一つの感覚も掴んでいた。
(このチワワ、こっちがソフィアだって知ってた?)
接近していくだけだとそうは警戒をするわけがない。なぜなら、相手がプレイヤーだったら、まず正体を見分けるために行動を起こすのはごく当たり前のことだからだ。
ソフィアは珍しいものを見るように接近していき、何の前触れもなく抱き付こうとした。それなのにあっさりと交わされたと言うことは、相手が事前に自分の中身を知っていたに違いない。
(ソフィアの後をつけてきてた?もしくは・・・)
最初から正体を知っていて、ここで騙して回答不能に追い込もうとしたか。もし後者だとしたら、それができるのはたった一人しか思い付かない。
(もしかしてこのチワワ・・・ユウカさん?)
その可能性は十分に考えられる。先程彼女はレオンを呼ぶために大声で自らの居場所を知らせたわけだし、そこ目指してやって来たユウカと遭遇することも考えられる。
(試してみなきゃ)
相手が敵なのか味方なのかを探るために、ソフィアは探りを入れてみることにした。
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