チワワとキツネ
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カグラside
退場者が集うこの場所に、また一人の少年がやって来た。
「・・・」
悔しさを隠すことなく奥歯を噛み締めているその少年は、鋭くなっている目を上げてこちらを見ると、その光景に固まった。
「・・・何やってるの?」
彼の瞳に映ったのは、椅子に腰掛けている私と、その胸に顔を埋めて沈んでいた気持ちを落ち着けていたシリルだった。
「うわっ!!レオン!!」
友人に見られたくない、甘えている姿を見られた愛くるしさの残る幼子は大慌てで離れると、顔を真っ赤にして椅子に座っている。
「何?姉と妹?」
「そこは弟で!!」
すっかりいつも通りのレオンに戻りシリルをおちょくり始めたのでホッと一安心。したのもつかの間、彼は思い出したかのように私たちに質問をぶつけてきた。
「そういやシリルとカグラさんはどんな着ぐるみだった?」
正直この質問には答えにくい気持ちがある。なぜなら、こいつの着ぐるみは本当に酷かったからだ。
歩くのも手でジェスチャーするのにも適していないあんな着ぐるみを着せられた彼は本当に不幸だと思う。だが、あそこまで不自由な状態で見せたジャンプ力はまさしく天性の才だろう。それがうまく使えなかったのはもったいないが、敵としてはありがたい限りだ。
「私はトラだったぞ」
「俺はウサギ」
隠すと不機嫌になるかもしれないのでここは正直に答えておく。それを聞いたレオンは、大きく目を見開いて硬直していた。
「だ・・・大丈夫?」
動かなくなった少年のそばに近寄り、手を目の前で振って意識があるのかを確認している水竜。だが、氷の神はよほどショックだったらしく、立ったまま呆けていて動く気配がない。
「レオン?」
「ハッ!!」
下から上目遣いをして見上げていた水髪の人物が何度か声をかけると、ようやく少年が意識を取り戻す。
「とりあえず座りなよ」
「そうする」
立ったまま観戦するのは疲れるので、それぞれ椅子に腰を掛ける少年たち。
「納得できない・・・」
ただ、自分の着ぐるみが異常なまでに動きにくかったことに対し、レオンはいつまでも納得できず、なぜあのようなことになったのかを頭を抱えていつまでも考えていた。
第三者side
レオンとミリアーナ、連続ポイントを上げたことで逆転に成功したユウカは、このままの勢いで勝負を決めてしまいたいと考えていた。
(誰かいないか?)
キョロキョロと周囲に目を配りながら歩を進めていくサル。しばらく歩いていると、その前に一つの着ぐるみが姿を現す。
(オッ?)
胸の前で腕を交差させ、数字を隠しているのは黄色い毛色をしたキツ
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