23話 一夏VS鈴 その3 & 無人機戦 ラスト
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なると専用機持ちの仕事は2点。
女生徒たちの護衛、そして敵ISの無力化を可能な限り迅速に完遂させることだ。鬼一はその無力化を行うために最短で、効率的に一夏を『使う』必要があった。そして結果を出す責任があった。
だからこそ鬼一は鈴の怒りが微塵も理解できないし、理解しようとも思わなかった。
鈴が一夏のことを好きなのは鬼一も理解している。だからと言ってもっと多数の犠牲を見逃す理由にはならない。少なくともその可能性を避ける必要はあった。
鬼一を締め付ける鈴の両手に力が込められる。
呼吸も苦しくなるほどの圧力。
それでも鬼一は淡々と自分のペースを貫く。
「それが最善だからと思えたからです。疲労した一夏さんと鈴さんの攻撃が通らない。僕とセシリアさんは観客と遮断シールドが原因で動けない。遮断シールドを破壊出来る火力もある以上、遮断シールドを壊して女生徒の皆さんの安全も保証出来ない。救援にはまだ時間がかかる」
鈴を落ち着かせるように、自分の中にある何かを整理するように、もしくは落ち着かせるように鬼一は話し続ける。
「ならば、リスクはあれども余力のある内に『零落白夜』を用いた奇襲作戦に出るのが良いと、僕はそう考えそう一夏さんに伝えました。それが間違っているとは思えません。もし、それが間違っているというなら鈴さん。答えを教えてください。僕たちはあの時、何が最善で何がベストだったのか」
「……っ」
反論しようと思えば鈴はいくらでも反論出来た。だが、反論しなかった。
力が入らなくなった両手が鬼一を解放する。
「答えが無いなら話はここまでです」
「……どこに行くのよ」
「今は僕の顔を見たくないでしょう? それに、鈴さんと一夏さんを邪魔するほど命知らずでもありませんので」
制服を整え、鬼一は最後にそう冷やかして鈴の前から立ち去った。
―――――――――
―――あんなことがあったわけだし、たっちゃん先輩今日は遅いだろうな。
時刻は既に午後6時を回った所。鬼一はIS学園の寮内を歩きながらもう1人の住人の顔を思い浮かべた。
普段、この時間帯の寮ならどこかしらで話し声が聞こえるものなのだが今日は聞こえない。当然と言えば当然なのかもしれなかったが。疲れて部屋で休んでいると考える方が自然かもしれない。
―――そういえば、教員たちによる簡単なカウンセリングを行うらしいけどもう始まっているのかな?
女生徒たちにとってはトラウマになりかねない出来事だったのは間違いない。1歩間違えてたら死んでいてもおかしくない状況だったのだ。体調を崩していてもなんの不思議でもないだろう。その確認と対処ということでカウンセリングを行うと鬼一は真耶から聞いていた。
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