23話 一夏VS鈴 その3 & 無人機戦 ラスト
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よりも一回りも二周りも大きい。が、鈴はそんな差などものともせず鬼一を壁に押し付けた。鬼一が抵抗することも許さずにだ。
背中を硬い壁に押し付けられ、いや、もはや圧迫と言ってもいい。ミシミシと軋む身体に鬼一は表情を崩さない。あくまでも鬼一は冷静だった。
「……離して、くれませんか?」
「どうして、どうして一夏に人を殺させようとしたのよ!?」
僅かに苦しそうな鬼一の声に鈴の怒りが宿った声を返された。鈴の身体から迸る憤怒の熱。その熱を受けても鬼一は表情を変えない。普通なら萎縮しかねないほどのそれ。鬼一にとってはそよ風のようなもの。
「ですがあれは無人でした」
「それは結果論じゃないっ!」
「結果が全てじゃないですか鈴さん?」
「―――っ!?」
「結果として一夏さんは『無人のIS』の迎撃を成功させて、人的被害はなし。まぁ、一夏さんが軽傷を負ってしまいましたが死亡者はなし。あの状況を考えれば奇跡的なことだと思います」
淡々と事務的に鬼一は事実を述べていく。14歳とは思えないその機械のような様に鈴は背筋に冷たいものが流れ、平静を取り戻す。
「……だけど、あの段階であんたはアレが無人のISだとは知らなかった。結果はベストかもしれなかったけど、あんたが一夏に人殺しさせようとした事実は変わらない!」
「それが一体、なんの価値があるって言うんですか?」
「っ」
鈴の追求を受けて鬼一は、その追求を無価値だと断じた。無価値だからこそ鬼一は冷静に、機械のように、淡々と語る。感情を感じさせない声色で。
「僕はあの時、あのISが少なからず無人の可能性があったから一夏さんに説明し、零落白夜を使わせようとと考えました。ですが―――」
零落白夜を用いて短時間で決着をつける。その判断に鬼一は今も正解だと信じて疑わない。疑う余地すらない。結果として最高と言ってもいい内容だったのだから。
「正直言ってあれが有人だろうが無人だろうが関係なく、僕は零落白夜を使わせようと考えたと思いますよ」
「―――鬼一っ!」
仮に、無人機ではなく有人機だったとしてもそれがなんだと言うのか。鬼一からすれば子供たちが大勢いるIS学園に襲いかかってきた段階で、容赦する理由はどこにもない。どんな手段を使ってでも最悪の状況を避けねばならない義務と責任がある。
『専用機持ち』というのはそういう存在じゃないのかと鬼一は考えているからだ。有事には絶対に敗北してはならない存在。それがIS乗りであり、そのIS乗りのエリートである専用機持ちは尚更であろう。
あのアリーナの戦闘で最悪の結末は専用機持ちが敗れ、無力な女生徒たちが虐殺されるということであり、最善は女生徒たちに被害を出さず敵ISの無力化だった、
と
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