23話 一夏VS鈴 その3 & 無人機戦 ラスト
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があっちこっちでギシギシと軋みを感じる。その軋みに不快感を覚えたが、仕方ない。自分でも無茶苦茶なことをした自覚はある。
「一夏、気がついたか」
聞きなれた姉の声。自分を囲っていた染み1つない白いカーテンが引かれる。
「いくつか確認するが、自分の名前や今通っている学校名は分かるか? 自分の年齢や家族なんかは思い出せるか?」
本当に注意しなければ、弟の俺じゃないと気づけないほどの差異。本当に、本当にちょっとだけど千冬姉の声は震えていた、と思う。
「えーっと、織斑 一夏15歳。今通ってる学校はIS学園。家族は―――千冬姉だけだ」
俺のその言葉に千冬姉は目を伏せて、小さく、安心したように息を吐いた。
「……無事そうだな」
「あぁ、無事だよ千冬姉」
「そうか―――、この大馬鹿ものがっ!!」
「いっ、てぇっ!?」
千冬姉が一息つくと、目を見開いて本気の怒号を上げながらその鉄拳を振り下ろした。一瞬、視界に火花が走るほどの一撃。
「何をするんだ千冬姉!? 怪我人にそこまでするか普通!?」
頭の中で鐘が鳴り続けているが、そんなことを気にも止めずに俺も千冬姉の大声に大声で返す。紛れもない本心。まさか、怪我人に対して本気の鉄拳を見舞うとは予想出来ない。
「馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが貴様はそこまで馬鹿だったか!?」
そんな俺の声に千冬姉は気に止めず、普段からは想像も出来ないような苛烈な悲鳴を叩きつけてきた。あまりにも、心に突き刺さるような声色。
それが、辛かった。
「ISの絶対防御をカットして、エネルギーを得るために衝撃砲の最大出力を背中で受けたのだぞ!? 五体満足でいられるのが奇跡なくらいだ! 一歩間違えていたら、間違えていたら……」
暴挙と言われたらそうだろうし、奇跡と言われたらそうなのかもしれない。だけど千冬姉、俺はあの時、あれしか思いつかなかったんだ。あの方法でしか守れないと思ったんだ。
何もない俺が勝つためには自分の身体を張るくらいしか考えられなかったんだ。
それが、正しいと思ったんだ。
「お前は、お前は死んでいたのだぞ!?」
だけど間違っていた。
少なくとも、千冬姉にこんな顔させた俺は間違っている。それだけは心が感じてくれた。
「―――っ、悪い……、千冬姉……」
口から出る言葉がとても虚しく感じる。
なぜなら俺は、また同じような状況になったなら迷わず同じ選択するからだ。きっとまた千冬姉を悲しませることになるかもしれない。だけど、守るためにはそれしか思いつかなかったんだ。
自分1人じゃ、あのISを止めることなんて絶対に出来なかった。鬼一の言葉と鈴のフォローがあったから初めて勝つことが出
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