マブラヴ
1475話
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基地の中でイブラヒムと篁に出迎えられた俺とスレイは、そのままカリンダ基地の食堂……ではなく、XFJ計画における篁の執務室に案内された。
ちなみにイブラヒムはこっちに来たがっていたようだったが、用事があるとのことで挨拶だけをしてそちらに戻っている。
……妙に好意的な目で見られていたんだが。
「どうぞ、アクセル代表は紅茶を好むと聞いてましたので……」
篁が、ソファに座っている俺とスレイの前に紅茶の入ったカップを置く。
お茶請けとしてクッキーがあるが、ここはオーストラリア……シャドウミラーのお膝元だけあって、食料の類は他の国に比べれば随分と余裕がある。
このクッキーも、恐らくどこかの世界から輸入したものなのだろう。
「ああ、悪いな。……うん、美味い」
俺の隣でスレイがクッキーを食べ、紅茶を飲んで呟く。
その言葉に釣られるように、俺もまた紅茶へと手を伸ばし……
「うん、美味い」
「良かった……えっと、ありがとうございます」
篁が口の中だけで小さく安堵の言葉を呟き、そう言ってくる。
「いや、紅茶をご馳走されてるのは俺達なんだから、感謝の言葉を言うのはこっちじゃないか?」
「いえ、そんな……アクセル代表やプレスティ大佐にはわざわざお出でいただき、感謝しています」
「……随分と立派になったな」
ふと、呟く。
その言葉に、篁の目は大きく見開かれた。
「覚えて……いたのですか?」
「ああ。勿論だ。恭子と一緒に斯衛の学校に講義をしに行ったし、篁の母親からご馳走になった美味い肉じゃがもしっかりと覚えているぞ」
「……ありがとうございます。母が聞けばきっと喜ぶでしょう」
心の底から嬉しそうにしている篁の様子を見れば、親子仲が良好なのは何となく理解出来る。
そう言えば篁の母親には肉じゃがを作って貰った事があったけど、父親には会った事がないんだよな。
「そう言えば知り合いだと言っていたな。……アクセルに妙なチョッカイを掛けられなかったか?」
「……スレイ、お前は俺を何だと……」
「ふむ、どんな風に思っているのかを直接口にした方がいいのか?」
悪戯っぽい笑みを浮かべて言ってくるスレイに、俺が出来るのはそっと視線を逸らすだけだった。
「いえ、そんな。アクセル代表には学校の講義でお世話になりましたし、恭子様が……」
恭子の名前に、スレイが眉をピクリと動かす。
「それはともかくだ……TYPE94をどうにかするって話だったけど、どんな具合になってるんだ?」
「現在、XFJ計画は不知火弐型と呼ばれる機体を開発中です。今はアメリカからテストパイロットが来るのを待っているところなのですが……」
「は? アメリカ?」
篁の言葉に、思わずそう返す。
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