帰郷-リターンマイカントゥリー-part2/ラ・ヴァリエールにて
[3/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ういえばさ!ハルナの鞄の中、教科書以外にも何か入ってたの?」
サイトは気を紛らわせる目的も兼ねて、ハルナに彼女の鞄のことを尋ねた。
「入っていたって言われても、お財布とか、生徒手帳とか、それくらいだよ?」
「あ、そ…そうだよな」
何を聞いているのだろう。それ以外に特に学校に持っていくものなど、彼女にはないはずだ。サイトのように、密かに漫画本を忍ばせていたとかあるとは考えにくい。
「でも、普段は読んでなかったのに、この世界に来てから生徒手帳を読むようになっちゃった。でないと、日本語忘れそうになるから」
そういって、彼女は持ってきた鞄から生徒手帳を見せる。
「そっか、そういや俺も読まなかったな」
最も、真面目に読むキャラでもなかったが、とサイトは心の中で付け加える。
「読んでみる?まだルイズさんの家に着くまで時間があるだろうし」
「そうだな。どれどれ…」
ハルナが生徒手帳を広げ、サイトに見せる。サイトも彼女の誘いを受け、ハルナと一緒に生徒手帳に記載されている事項に目を通し始めた。
「まずは…『派手な格好をしないように』」
「ふふ、『登下校時は寄り道しないように』」
「『勉学に励み、規則正しい生活を心がけよ』…か。こんなのまで書いてあったのか」
「あ、校歌に応援歌もある!」
「はは、俺全然歌えねぇ」
生徒手帳内に記載されていた校歌と応援歌。それを見て、始業式や終業式でいつも周囲が自分を含め、まじめに歌わずボソボソと歌っていたのを思い出してサイトは噴き出した。で、嫌いな体育教師が「声が小さい!」と怒鳴って一人熱くなって、歌うのを生徒たちにやり直させたりしていたものだ。
しかし、こうして会話をしていると、地球に戻ってきたような感覚だ。ハルナは異世界に流れ着いた不安がぬぐえること、何よりサイトとこうして楽しい会話ができることもあって、一番楽しんでいた。
そんな二人の弾みきった会話の様子は、二人が乗っている馬車の前方を走っているルイズも気づいていた。サイトがハルナに手を出していないか?そんなことを気にして後ろをチラチラ見ては、もどかしさといらいらを覚える。
「…あ、あの犬…あんなにくっついて…!」
わかっている。わかっているのだが…どうしても悪態をついてしまう。
「ちびルイズ、何をよそ見してるの!まだ私の話は終わってなくてよ!」
「い、ひゃいでふうううう…」
しかし、すかさずエレオノールが横からルイズの頬を抓ってくる。餅のように伸ばされた頬をゴムパッチンのゴムのごとく離し、エレオノールはため息を漏らす。
「落ち着きのない子ね。さっきからあらぬ方向をちらちらと」
「だ、だって使い魔が…」
そういいかけたところで、言葉が詰まる。だからどうした、と姉から返されることがすぐに予想がついた。
「まったく、ここしばらくの
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ