帰郷-リターンマイカントゥリー-part2/ラ・ヴァリエールにて
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る気がしなくもないですか?」
「え?そ、そうなのか…」
「サイトさんの隣には、ミス・ヴァリエールとハルナさんがしっかり着いていて、まるで付け込む隙がないんですよ。しかも今回だって、本当なら私がやるはずだったポジションをハルナさんに取られたような気がしますし…」
どこかメタなぼやきをクドクドくどくど言い続けるシエスタに、マルトーはその日ずっとつき合わされた。要はサイトとくっつける時間がなかなか取れなくて、少々不満を抱き始めているということである。
そんなサイトたちはというと…
「まさか、ルイズの実家によることになるなんてな…」
平民用の馬車に乗せられ、エレオノールが乗せている馬車の中で移り変わっていく景色を眺めながら、サイトは呟いた。
前回、突如自分たちの前に来訪したエレオノールによって、ルイズと共にサイトとハルナの二名は、二台の内、平民用の馬車に乗せられ、ルイズとエレオノールが乗る馬車の後に着いて行っている。
「平賀君、ルイズさんの家に行ったことないの?」
横に座っているハルナが、サイトに尋ねる。ルイズの使い魔、ということは彼女との上下関係こそあるが距離が近いということでもある。ならルイズの実家についてもサイトは何か知っているのだろうかと思っていた。
「いや、俺も今回が初めてだよ。公爵家っていうからには、きっと立派なんだって思うけどさ」
サイトはルイズの実家に行くのは今回が初めてだ。どんな場所なのか、連日大事件に遭遇することも多くて興味を引かれる暇もなかった。アンリエッタとは、遠い親戚だし実家の位が高いから、相当豪華な場所なのかもしれない。それもテレビ番組の特集で紹介され注目を浴びてもおかしくないかもしれない。そう思うと、不思議と元来の好奇心の高さが刺激され、わくわくしてくる。
しかし一方で、ドキドキもある。これはさっきのわくわくとは別のものだ。
「…それよりさ、ハルナ」
「何?」
「その、なんか…近くない?」
少し照れた様子で、サイトはハルナに尋ねる。実は、ハルナは隣に座っているだけでなく、異様にサイトとの距離を縮めていた。女の子のいい香りがサイトの鼻をついて来る。
「いいの、これくらいで」
だが、ハルナは少し顔を赤らめながらも、サイトとの距離を広げる気はなく、むしろさっきより少しだけにじり寄っている。サイトのそばにいられる幸せをかみ締めているが…。
『…サイト、なんとかしてくれ、こっちにまでいらない熱がきて小っ恥ずかしいぞ』
『そ、そんなこと言ったって…』
サイトも健全な思春期男子。美少女からここまでにじり寄られると恥ずかしさもそうだが、興奮のあまり顔が緩みそうになる。しかしゼロと同じ体と命を共有しているので、ゼロのことも無視できない。したらしたで、頭の中でうるさく文句を言ってくるに違いない。
「そ…そ
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