第3章:再会、繋がる絆
第67話「休息の間に」
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今はそれをする余裕もないからね。大人しく休むとしよう。
「...ようやく休むんだね...。じゃ、僕はもう行くよ。」
「ああ。ありがとう、付き合ってくれて。」
「面白い魔法を教えてもらえたことだし、別にいいよ。...ただ、いきなりロストロギアを直すなんて真似はもうしないでくれ...。心臓に悪い。」
「...なんか、ごめん。」
普段の魔法に慣れている人ほど僕のやってる事って信じられないんだろうな...。
やっぱり、少しは自重するべきか?
「じゃあ、休みに行こうか。」
「ええ。」
とりあえずという事で、僕らは部屋に戻ってゆっくり休む事にする。
葵の事が心配だけど、それはアースラクルーの人に任せよう。
僕らだけで無茶する必要はないのだから。
=out side=
街の一番高いビルの屋上。給水タンクの上に、一つの人影があった。
傍らには、人影がもう一つあり、タンクに腰かけている。
「.....役者は明日揃う。準備も完了した。」
街を見通すように、人影...優輝の偽物は言う。
「決着は明日。ジュエルシードの位置は全て把握した。...その気になれば、今からでも動かせるな。」
「でも、それはしないんでしょー?」
偽物の言葉に、もう一人...葵が言う。
「まぁね。....だが、オリジナルが乗り越えなければ結末は同じだ。」
「絶対向こうも気づいているよ。...詰めが甘すぎるって。」
「...結局、“負の感情”を集めたとて、それだけ僕は甘いって事さ。」
「...そうだね。」
物思いに耽るように、偽物は夜空を見上げる。
「...良い月だ。この景色も、今宵で見納めか。」
「そうだろうね。」
悲しそうに...だが達観した面持ちで偽物は言う。
まるで、自分がどうなるのか承知しているかのように。
「結局、雪ちゃんを生き返らせたいのは嘘なの?」
「いや、本心さ。...誰だって、大事な人が死んだら、生き返って欲しいって思うだろう?」
「...なるほどね...。」
葵の問いに答える偽物。
その答えに、葵は何かに合点が行ったようだ。
「...あたしは優ちゃんと違って、“負の感情”が蓄積されて生まれた訳じゃない。だから、優ちゃんとは考えが違うと思ったけど...。」
「その実、変わりないって事さ。」
「結局、優ちゃんは人間らしい...けど、負の感情は持たないってね。」
そういって二人は軽く笑い合う。
...優輝達と戦った雰囲気が、まるで嘘かのように。
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