第6章 流されて異界
第152話 冬の花火
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の目的は、彼女が口にした花火が見え難いから、だけではないと思う。
可能性が高いのは、俺の反応を見たい。俺がその程度の事で理性を失って襲いかかって来る程度の男なら、あの布団越しに跨った夜に何か起きていると思うから、その可能性は低いと考えている……と思う。
それなら、更に一歩踏み込んで――自分の身に危険が降り掛かる可能性が低いのならば、その時の反応を確かめて見るのも悪くないと考えたのでしょう。
有希の例じゃないけど、「その火を飛び越えて来い」状態だと思う。その中に書かれていた古い日本の道徳観などを俺が持っているのか、と言う試し。人間としての涼宮ハルヒの部分で俺の事をどう感じているのかは不明なのだが、彼女の中の異界に近い部分は間違いなく俺を求めている。そう言う意味で言うと、あの土地神召喚の笛を聞いたのは彼女に取って決定的だったのでしょう。
俺の笛を芸扱いにしたのだって、心の深い部分では『自分以外に聞かせる為に笛を吹くのが嫌だ』……と感じて、それを上手く言葉として表現する事が出来ずに、ああ言う言葉使いとなって仕舞ったのだと思うし。
相変わらず人間以外からの人気は高いらしい。見た目などだけで評価されていない点だけは良かった、と考えるべきなのでしょうね、この部分に関して言うのなら。
自嘲……と言うか、面映ゆいと言うか。これも俺の人間としての魅力だ、と胸を張って言えるのなら面映ゆいだし、人間以外の部分に対する評価なのだから、これを人間としての魅力に加えるのはどうかと思う……と考えるのなら、自嘲に近いと表現出来る笑みを口の端にのみ浮かべる俺。
まぁぶっちゃけ、俺の学んだ洞統は房中術のような系統を含んでいない上に、俺の術の一番下。根っ子の部分には一切の不浄、穢れを嫌う神道が存在しているので、ハルヒが……多分、嫌っているような人間と成る可能性はかなり低いとは思うのですが。
「なぁ、ハルヒ――」
何にしてもトドメは早い方が良い。今回に関しては、別に落ち込むような内容ではないので、彼女が冷静に頭を働かせれば俺の論法の穴を見付け出す事が出来るはずだから。
曰く、それならここに居る人数分の水着を用意してよ、と言う無茶な要求を行う事ですべてひっくり返せる可能性がある事を。
「俺には金属アレルギーがあるからな」
言いたかったのはそれだけ。そう言って、意味不明の言葉で高い壁越しの会話を終える俺。
「あ、そう。それがどうしたの、としか答えようがないけど」
予想通り、かなり素っ気ない声。もっとも、これで苦手な金属製のベルトを付けた腕時計を左腕に巻く必要はなくなった、と言う事。
あの夜。ハルヒと蒼穹の散歩へと出掛けた夜の最後の部分で、俺の故障した腕時計を彼女が奪い去って終った、と言う事。まぁ、科
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