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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百三一幕 「全てはヤツの手の内に」
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実際アングロは精神的に疲れていたため休息を取らせるというのも嘘ではない。それに結果的にベルはこの一日を自由に使える訳だし、お香の効果で彼女はあと5時間は起きないだろう。そして佐藤さんはアングロに何の恨みも買わず、ベルの願いも叶えた上で悠々自適に家を後にしたのだ。

 そんな様子を見て、計画失敗時の保険として部屋を監視していたアラスとコーラは戦慄する。

「………恐るべしサトーさん。まさかベルを介してアングロを手玉に取るとは。IS学園の大軍師を名乗るだけありますね。あれは時代が時代ならかなりの女狐ですよ?」
「前々から思ってたが、やっぱ唯者じゃねーなサトーさんはよぉ……」

 これ以上適切な説明はないだろうが……イタリアに来ても佐藤さんは佐藤さんであった。



 = =



 凰鈴音という少女は、年の割にはしっかりしているがちょっとだけ浅慮なところがある。

 例えば一夏が絡むとその特徴は顕著になるし、意外と寂しがり屋なので友達が絡むと盲目になったりもする。そして彼女の両親はそんな特性を理解したうえで丁度いい感じに誘導するのに長けていた。

 まぁつまり、あれだ。

「もう誤魔化されないんだからね!!きっっっっちり真実を語ってもらうわよ、二人とも!!」
(ぐっ、もう少し誤魔化せると思ったのに……)
(あと2日くらい粘ったらそのまま日本に再出発すると思ってたのに)
「な・に・を・残念そうな顔でヒソヒソ話してんのよぉぉッ!!」

 鈴は、両親のちょっと無理があるぐらい露骨な思考誘導に見事に引っかかっていることを帰国後二日目の夜にようやく気付いたのである。

 以下、実際に起きた信じられない親子間のやり取りである。

 例その1。

「ねぇパパ、ママ。二人って離婚調停したことあ……」
「はい鈴、できたてホカホカの桃饅よ?冷えないうちに食べるのよ〜!」
「わっ、久々のママの桃饅!!食べる食べる〜!」

 例その2。

「パパ、パパが昔アタシに渡してくれたあのネックレスって一体……」
「お、見てみろ鈴!パンダの赤ちゃんが沢山テレビに映ってるぞ!」
「ほんとだー!パンダの繁殖もだいぶノウハウ溜まってきたのねぇ………」

 例その3。

「ねぇ、二人とも私に何か隠してな………」
「今日の晩御飯は代表候補生補助金で買った天然のフ・カ・ヒ・レ♪」
「てっ、天然んんんんんんッ!?ホント!?ホントに食べられるの!?」

 ……実に露骨なのもそうだが、引っかかってしばらく聞くべきことを忘れた鈴のうっかり加減はどこぞの宝石ばっかり買っている優雅な名家も黙って頷くほどである。きっと13歳でビクトリーなロボットのパイロットにされたどこぞの少年も「ウッソだろお前!」と叫ぶほど、浅慮な鈴は誘導に
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