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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#5
PRIMAL ONEU 〜Either Side〜
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ですか? 私は」
「……アナタ、殴りたかったら殴っても良いのよ、この女」
 被った帽子に美姫の頬を寄せられながら、
少女は自分も一目置く異能者を見据える。
 相変わらず口数は少ないようだが、
ソレでも自分の隣で大仰な図体とは裏腹の
社交的かつ控えめな態度で接してくる“燐子” の語らいに、
穏やかな表情で応じている。
 やがてその盲目の青年が一度軽く頷き、
噴水の土台に立てかけてあった深い年季のバロック・ヴィオラを手にした。
 そして楽器本体と同じ古風な造りの弓を、
ピンと張られた旋律弦へと引き当てる。



 ……
 …………
 ………………



 夜風に乗って静かに奏でられる、香り高くもゆかしき旋律。
 聴く者スベテを夢幻の陶酔に誘うような、
そんな、寂然としていながらも悠遠極まる音色。
 大仰な造りの機械人形は歯車の瞳を緩やかな線にして細め、
肩に留まったハヤブサも鋭い(まなじり) を閉じ、
嘴の端を曲げて夜風に流れる音色に身を揺らしている。
 偶然ソコに居合わせるカタチとなった現世の美女と紅世の美少女も、
その神品と呼んでも差し支えない音素の清流に暫し佇む。
「幻想曲 “グリーン・スリーヴス” ですね」
 夜風に水色の髪を靡かせながら、ヘカテーがポソリと呟く。
「よく知ってるわね……人間でも知らないヤツがいるってのに」
 マライアは声調を抑えながら、隣で瞳を閉じ今にも踊り出しそうな挙措で
小首を揺らしているミドラーを見つめた。
「一説によると、人間と紅世の徒の間に生まれた曲らしいです。
決して報われぬ恋、絶対に結ばれぬ運命を旋律に託した、
哀しい詩だったと聞きますが詳しい事は私も知りません」
「なるほど、ね。原本の楽譜が存在しないっていうけれど、
ない話じゃないかもしれないわね」
 そう言ってマライアは視線を前に戻す。
 緩やかに流れる水と、舞い散る飛沫に反照する光。
 ソレらに相俟ってより神秘的な音色を累進して往くヴィオラ。
 盲目の青年が奏でる、月下の旋律。
 その是非を問う事など端から愚問で在るかのように、
種族も係累も存在すらも異なる3者の間には、
とても安らかで融和な雰囲気が充ち渡る。
 しかし。
 ソコへそれらの雰囲気全てを台無しにする、
調律という概念等端から完全にブッ壊れ尽くしたような金伐り声が
頭上から到来する。




『ドゥォォォォォォォォォォミノォォォォォォォォォォォォォォォ――――
―――――――――――――ッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!』



 ギリギリと鼓膜を絞る、実に不快な声調。



「くぅぉぉぉぉぉぉぉぉぉのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!
ゥワァァァァァタシィィ
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