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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#5
PRIMAL ONEU 〜Either Side〜
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度駒を動かした後おもむろに
「 『ストレングス』 がやられたらしい」
事も無げに告げた。
「ッ!」
 対して少女は己でも意外な程の衝撃を受け呼気を呑む。
 卑しい(けだもの) の分際で、迷宮のような邸内をしつこく追い回されたのは
記憶に新しい所であるが、いつか焼き猿にしてやるという密かな気持ちが
こんな形で叶わぬコトになるとは……
「 『星の白金』 と “炎髪灼眼” でございますか……?」
 俯き、微かに声を震わせるティリエルにエンヤは続けた。
「詳しいコトはまだ解らぬが、どうやらそうらしいの。
まぁジョースター共の足止めをしただけ、良しとするか。
“アレ” が在る限り 『スタンド使い』 は幾らでも生み出せる。
殺しても殺しても、無限にな」
 冷淡な口調で両腕を組む麗女の前で、
少女は今は亡き仇敵の姿を思い起こしていた。
 下卑た顔付きと、人を小馬鹿にしたような憎たらしい笑み。
 本当に、嫌いで、嫌いで、大ッ嫌いで、
いつか必ず殺してやろうと想っていた。
 それなのに。
「それで、次なる刺客には一体誰を? もし」
「ソレについては問題ない。
既に 『悪魔(デビル)』 を、シンガポールに差し向けてある」
 ティルエルの言葉を予め読んでいたように、
エンヤは微笑を浮かべながら彼女の声を遮った。
「あ、あの、者……ッ!?」
“呪いのデーボ”
 少女も一度見ただけであるが、
忘れようにも忘れられない、アノ異常な風貌。
「聞く所によると、ジョースター共も仲間を増やしているらしい。
ソコを殲滅するには打って付けの男であろう。
ヤツの異端なる 『スタンド』 ならば、
一人でジョースター共全員を屠る能力(チカラ)は充分に在る」
 そう言ってエンヤは、クリスタルのクイーンを口唇に当て妖艶な笑みを浮かべる。
「お前が憂慮するコトは何もない。
いよいよとなれば、ワシかヴァニラが出れば済む話じゃ。
所詮はDIO様の覇業に於ける添え物。
お前達に力を発揮して貰うのは 『その後』 なのだからな」
「エンヤ姉サマ……」
 己の心を、その存在の淵まで見透かされているのではないかという畏れと共に、
温かく緩やかな感情が伝わってくるのをティリエルは感じる。
「そういうわけで、チェック・メイト」
「あッ!」
 金の冠を被ったクイーンが、
堅牢なルークを薙ぎ倒してキングの間近に撃ち込まれる。
 傍目には決着が付いたような光景ではなく、
この後も50手を越す高度な攻防が必要とされるが
鋭敏な頭脳を持つ両者には勝敗を認めるに充分な一手であった。
 目の前の麗人を慮ってのコトではあるが、
それでも自分の集中力が乱れた結果に少女はむぅと眉を伏せる。
「もうこんな時間か。そろそろ部屋に戻れ。明日に差し
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