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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十七話 STAR T SABER《星と刃》
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動エネルギーの塊を──

「天瞳流、抜刀居合──」
──両断した。

「「…………!」」
はじめに、二つに裂けた。
車体中央から正中線に真っ直ぐ、まるで斧で薪か何かのように真っ二つになったバスは、ミカヤを避けるように左右に分かれて与えられた運動エネルギーになされるがままに彼女の後方へと吹き飛ぶ。そして彼女の身体を通り過ぎるか過ぎないか辺りの位置で、今度は八の字のように左右斜め下に向けて裂け、計四つの鉄の塊と化してそのままミカヤの後方へと吹き飛んで行った。

ヒィン……
と、鋭い金属が大気を斬る、相手が生物であれはついたかもしれない血糊を払うように空中で二閃の後、ミカヤはゆっくりとした澱みない動作で、納刀した。

「──天月・霞」

────

「ミカヤさん!」
「うん」
試し切り直後、双子は急ぎ足でミカヤに駆け寄った。あれだけの芸当を見せつけたミカヤの身体を心配してのことだったが。

「その、大丈夫なんですか?腕とか刀とか……」
「ん?あぁ、平気平気、ちょっと痺れたかな、くらいで」
軽く手をプラプラと振るミカヤを、二人は唖然とした様子で見つめる。実際のところ、肉体的にもケガをしたりしているようにも見えない。表情にも余裕があり、つい先ほどあんな芸当を成し遂げていたのがウソのようだ。

「それにしても、すさまじい……魔力もほとんど使わずに、あんな事が可能なんですね……」
今ミカヤが行った斬撃で、魔力を使っていたのはほんの少し、物体に斬撃を奔らせて斬撃の範囲を拡大する魔法だけだ。これ自体はそこまで難しい魔法ではないが、これを用いて巨大な物体を切断する場合、あくまでも放たれた斬撃がその質量、密度の物体を両断できるだけの威力を持っていないと成立しない。つまり、ミカヤの斬撃にはそれだけの破壊力が存在していたということだ。

「それが技術……天瞳流抜刀居合なわけだ」
実際、オットーとディードの目にはミカヤの斬撃は一閃にしか見えなかった。しかし切り口を見るに、あの斬撃は計三回バスを切断しているのだ。圧倒的な速さと鋭さ、そして威力、それらすべてが、「居合刀」という武器を使うことに特化して積み上げられてきた、天瞳流抜刀居合という流派の研鑽の賜物なのだろう。

「まぁ、技術というなら彼のほうにも凄まじいものがあるけれどね」
「えっ?」
彼?と首を傾げた二人に、ミカヤはどこか楽しそうに笑う。

「ほら、あれを見て」
言いながらミカヤが示したのは、つい先ほど四分割されたトラックが吹っ飛んでいった方向だ。今そっちを見てもバスの残骸があるだけの筈だが……そう思っていたディードとオットーの予想は、見事に覆される。

「えっ?」
「これは、どうして……」
本来ばらけて無秩序に転がっているはずのバスの残骸は、奇妙なこ
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