暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十七話 STAR T SABER《星と刃》
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ることは可能だ。
しかし居合刀のような実剣を使用して物体を切る場合、光剣とは勝手が根本的に異なる。光剣とちがい、より魔力を使わない、一般物理学寄りの斬撃である実剣は、極論刀身に対処物をぶつけるだけで、バターのように物体を両断できる光剣とは違い、斬る物体の質量や加速度、体積の大きさの影響をモロに受けるからだ。それを如何にして為すのか……二人がミカヤの一挙手一投足に注意を払い始めた時だ。
ギギギギ……という、異音が周囲に響き渡り始めた。まるで金属が軋むようなその音に、二人が音源をみる。と、それが「ような」ではない事に気がついた。実際に金属は軋んでいた。と言うか、バスを釣る鋼鉄製のワイヤーから、その音は発されていたのだ。縦に宙吊りになったバスを、釣り上げているクレーンを起点にしてまるで振り子のように、60〜70度程度の角度で横方向に釣り上げ、その負荷によってワイヤーが悲鳴じみた音を上げている。丁度振り子が真下に振れる辺りにいるミカヤを見て、双子があわを食ったように叫んだ。
「み、ミカヤさん!まさかアレって!?」
「”動かす”んですか!?」
二人の反応を予想していたように、ミカヤは何処か楽しげに、それでいて楽しげに笑った。
「動かすっていうか、私に向かってぶつけてもらうの」
とんでもないことをサラリという彼女に、もはや双子は絶句するしかない。そんな二人を他所に、ミカヤの方はワクワクしていると言わんばかりに爪先をトントンと地面に打ち付けて続けた。
「あ、一応下がっててね、破片が飛んだりしたら危ないから」
危ないのはアンタの思考回路の方である。
……失礼。二人が十分に離れるのを確認してから、ミカヤは再びクレーンに向かい合う。
[それじゃ、ミカヤちゃん、準備が出来たら合図してくれな!」
「はい!……準備万端、お願いします!」
気迫のこもった声と共にミカヤは左手で腰に添えた晴嵐の柄に手をかけ、両の脚を大きく開いて構える。その瞬間彼女の中で周囲から音が消えたかのように、凛とした静寂を孕む気が流れた。
そして……
「あいよっと!」
がこん、とレバーの操作によって、バスを水平に持ち上げていた側のクレーンがワイヤーを離し、バスが一気に下降を開始した。
二階建てバスの車体重量は、それ自体だけでも優に20tに達する。そんな質量の物体が、振り子状態で重力による加速をもってしてミカヤに突進する。その圧倒的な迫力に、双子はおもわず互いに向き合って両手を握り合っていた。仲良しか。
しかして、ミカヤの目には一片の揺らぎもない。
重量と、加速度、更に遠心力まで孕んだそれは、生身で喰らえば確実に自らの身体を小石のように吹き飛ばす……だけでは済まないだろう。
しかしミカヤは変わらずバスを見つめると、まさしく暴力的としか言いようのないその運
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