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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十七話 STAR T SABER《星と刃》
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た鋼鉄製のワイヤーが、全高だけで4m、全長にして14、5mはあるであろう大型六輪バスを宙につるし上げているのである。

「あの、ミカヤさん、試し切りって……!」
「まさか、“これ”をですか!?」
「うん、ここでしか出来ないっていうのは、つまりこういうこと」
苦笑しながら肩をすくめてそんなことを言う。
そりゃこんな巨大なものを切ろうとすれば危ないのは当たり前だ。というか仮に切れたとして切った後の残骸の処理に困る。もっと言うならそもそも運べもしないだろう。

「元々、『廃車切り』は天瞳流の目録試しの一項目なんだよ、まぁ普通はもっと小さな自動車でやるんだけどね」
目録試し、というのは、刀や体の調子を試す際にそれを確かめるための行動としていくつか流派によって指定されている練習方法のようなものだ。共通に指定されたこれらの行動を試しにやってみることで、実戦に向けての試し行動をするというわけだが……それにしても、そんなものの中に小さいとはいえ「廃車を切れ」と書くとか色々と若干おかしくないだろうか天瞳流……

「でも、これだけ大きくて頑丈そうな車を切るのは私も初めてだよ。ちょっとドキドキしちゃうなぁ」
ドキドキとかその表現がすでにいろいろおかしいのだが……言いながら、ミカヤは袋の中から彼女の愛刀《晴嵐》を取り出した。
《晴嵐》は元々、通常の居合刀として作られた刀に、アームドデバイスとしての機能を付与した居合刀型のデバイスだ。元々刀であるため、待機状態でも武装形態でも、その切れ味には全く変化はない。
するとそこに、作業服を着た男性が歩み寄り声を駆けてきた。

「おぉ、ミカヤちゃん、来てたんか」
「あぁ、どうも!お世話になります」
廃車場の作業員なのだろう、親し気に声を駆けてきた男性にミカヤは深々と頭を下げる。その態度からは、ミカヤとこの廃車場の仲が、すでに一度二度のものではないことがうかがえた。つまり、今までもミカヤはこの場所で、何台もの廃車を切ってきたのだ。

「どうする?もうやっちゃうかい?」
「はい!お願いします!」
若干楽し気にバスを指していう中年の男性に、ミカヤもどこか嬉しそうに答える。クレーンに向かって歩いていく男性を見送りながら、どちらともなく双子が念話をつなげた。

『しかし凄い話だね……ディードはあの車、切れる?』
『光剣ならともかく、実剣ではちょっと……』
光剣なら切れんのかよ、と言いたいところだが、魔力で形成されたエネルギーブレードである光剣は、エネルギーによって物体を焼き切ることができるため、強度のある物体であっても比較的切り易い。ましてディードのもつISはツインブレイズと呼ばれる二本一対の魔力刃であり、それを使う彼女は当然光剣という武器の特性をしっかりと理解している。たとえ二階建てバスで有ろうと、切
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