ベルセルク
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ルフェイスは、どこか皮肉じみた口調で言う。かつて表で活躍した男の裏で暗躍してきた自分の経歴を思い浮かべ、結局本物になれなかったどころか影武者に敗北した己を密かに卑下したのだった。
「……スカルフェイス、単刀直入に訊く。これまで隠れ蓑として利用した管理局の“裏”を始末した今、あなた達は何をするつもり?」
なのはが固唾を飲んで見守る中、満を持して尋ねたジャンゴの質問を、スカルフェイスは一息溜めてから呟くように答える。
「ウルズに……核を撃つ」
「そんな……本当に地球で引き上げた核兵器を使うつもりなの!?」
核兵器を使うという地球人としては信じ難い言葉を簡単に口にした事に、なのはは愕然とする。フェンサリルに来る前にディアーチェ達から聞いた話が、こうして現実になろうとしているのを間近で目の当たりにし、ジャンゴは苦い顔を浮かべる。
「現在の次元世界で管理局と公に交戦しているフェンサリル、ミーミルが占領された事で抵抗を続けているのはウルズという現状。自らの沽券のためにもエネルギー不足を早急に解決したい管理局にとって、彼らの抵抗は大いに目障りであると誰もが気付いていることだろう。そう、管理局の介入に不満を抱いている他の管理外世界は、連中が追い詰められると何をするのか注目している。人間の本質は危機的状況に陥ると現れるというからな。そんな時に、管理局の持ち込んだ兵器が甚大な被害を与えたらどうなる?」
「ッ!」
「管理局は邪魔する存在を全て消し去る主義だと判断した管理外世界は報復心が爆発し、管理局に聖王教会、及び魔導師を駆逐するための力を求める。対して管理局も自分達が次元世界の守護者であるという自負を掲げてしまっている以上、管理外世界に敗北する事を認める訳にはいかず、どれだけの犠牲を払おうとも戦いから引けなくなる。そうなれば自然と戦争は長期化するように思えるが、私が新型メタルギア・サヘラントロプスを管理外世界に売る事で、彼我の戦力差が一気に塗り替えられる」
「だけどサヘラントロプスは現代地球における核兵器と同様に“使わないための大量破壊兵器”。あなたは“使うための大量破壊兵器”として“世界解放虫”を用いる。そして知らぬ間に感染させられた魔導師は知らず知らず他の魔導師に感染を広げていき、小型アルカンシェルの存在を含めて危機感を抱いた管理世界の人達は、正体がわからないウイルスに自分達も感染しないように魔導師を遠ざけ、管理局から脱退する。そして魔導文化の時代は終わりを告げ、管理局も聖王教会も空中分解していく結果になる……」
「しかし目下の敵がいなくなると、ヒトは次の敵を探してしまうものだ。力を向ける矛先を見失った各世界は、やがてその槍を自分達と同じような他の世界に向ける事になるが、相手も同じように自分達の
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