ベルセルク
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かを救う意思や才能は無い。復讐を生き甲斐にしてきた俺が必要以上に生きてしまえば、余計な命をも奪って世界を乱してしまう。それならばいっそのこと、俺と違って誰かを救う意思や才能がある完全体の糧になった方が世界のためになるのさ」
「そんなの駄目だよ……納得できないよ。その言い方だと、世界から弾かれた人間は他の人間の犠牲になった方が良いって言ってるようなものだよ。誰かに追い詰められたり、嵌められたりした人間を弱者のまま終わらせて、本当に世界のためになると思ってるの?」
「いや、ならないな。だがそれは人間の話であって、“人間モドキ”の俺には当てはまらない」
「モドキって……! ふざけないで!」
「ふざけてないぜ。俺は自分がろくでもない悪人だと自覚してる。復讐を止められない、敵と対話する能力が無い、暴力を振るう事でしか自分を示せない。そんな奴でも胸に抱いていた、クローンの社会的立場の向上という目的……光差す世界に生きる完全体にその後を託せるのなら、俺は贄となる事もやぶさかではない」
ビーティーの目的のために身命を注ぐ意思、汚名を背負う覚悟、狂気の中にずっと隠されていた“純粋な救いの意思”を見せ付けられ、なのはは言葉に詰まってしまう。暗黒に染まった感情の内側には、微かに太陽の心が存在していたのだ。
「あなたは……全てのクローンが救われるために、その命を捧げるつもりなのね……。私の研究が生み出した悲劇を無くすために……」
これまでの話を間近で聞いていたプレシアは先の戦闘で痛む身体を無理矢理立ち上がらせると、
「私の命で救えるというのなら、やりなさい」
両腕を広げてその身を無防備に晒した。
「プレシアさん!? 何を……!」
「これは私にできる最後の贖罪、私が受けなければならない罰。だったらサバタみたく、少しでも未来に希望を残せる死に方を選ぶだけのことよ。それにね、どの道私はもう助かる可能性が無いの。人質はアリシアだけじゃない、私自身も含まれているのよ……人間爆弾としてね」
「人間爆弾!? それじゃあここから助け出したとしても……」
「そう。私を助けてしまえば、輸送中に私の身体に埋め込まれた爆弾が爆発する。スカルフェイスの策に利用されて死ぬぐらいなら、彼女の復讐で死んだ方がマシだわ」
「そんな……」
「アリシアを助けられるなら爆破されても良いと思っていたけど、そこの彼女の話から、自分に出来ないなら誰かに後を託せば良いってことに気づけた。……なのはさん」
「はい……」
「娘達を……頼むわ。彼らの手から、アリシアを救って……。フェイトも私が死んだらきっと悲しむだろうから、立ち直るまで支えてあげてほしい。それと、『あなた達は十分立派になった、これからは自分達の足で歩きなさい』とも伝え
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