第3話 戦士達の決断
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ダタッツがこの港町を訪れて、三日目。港町の上には、曇り空が広がっていた。
ここの王国騎士達の話によると、天候が悪い日にグランニールの一味は絶対に現れないという。船しか移動手段を持たない彼らの窮状を鑑みるなら、無理な行動で足を失う事態を避けている、という理由が容易に想像できる。
だが――ダタッツはその話を受けてなお、銅の剣と木の盾を携え、臨戦態勢を整えた姿で町に繰り出していた。
街道を歩いていれば頻繁に目に付く、酒に溺れ傲慢に振る舞う王国騎士達。彼らの醜態に顔を顰めながら、黒衣の剣士は港へと直行した。
(……来るはずがない。誰もがそう思っているが……相手の予想を外して攻めるのが戦いの基本。そう思い込ませるための、五年間だとしたら……)
そして港に辿り着いてすぐに、暗雲に覆われた大海原を見渡す。波は晴天の頃より大きく揺らめいてはいるが――船が転覆するような段階ではない。
雨が降り出せば話は違ってくるが……もしも、その危険を顧みない「片道切符」を抱えているとしたら。
「……ジブンが敵に回ったと見て、捨て身の特攻作戦――ということか」
そんな予想に沿うかの如く。
暗雲と霧と、水平線の彼方に――海賊船のシルエットが、現れた。
◇
「て、敵襲だ敵襲ゥゥーッ! グランニール一味が来やがったァァァ!」
「なんだって!? 嘘だろ、今までこんな天気で攻めてくるわけなかったのに!」
「んなこと言ってる場合か! さっさと全員叩き起こして配置に付けェ!」
予想だにしない天候での、海賊船の来襲。その異常事態に、本物の戦に慣れていない王国騎士達は大パニックに陥っていた。
その喧騒を背に、ダタッツはただ真っ直ぐに、こちらに近づいてくる海賊船を視線で射抜く。
「……」
この視線に気づいているのか。ゆらり、と船上に現れた二つの影が、ダタッツの目前に颯爽と飛び込んできた。
紫一色の戦闘服を纏う、二人の海賊。筋骨逞しい長身の父と、少女さながらの短身痩躯の次男。――グランニールとシュバリエルの親子が、剣呑な面持ちで降り立つ。
「……また、会ったな」
「……あなた達親子のことは、タスラから伺いました」
「そうか。……あの子は、まだ無事か。気の強い娘であるから、心配していたのだが」
「大丈夫ですよ。彼女は、強い」
シュバリエルが敵愾心を剥き出しにして睨みつけているのに対し、グランニールは険しくも落ち着いた物腰で、ダタッツと言葉を交わす。そして彼が銅の剣を抜く動作に合わせ、自身も格闘の構えを取った。
「青年よ。名を聞きたい」
「ダタッツです」
「……変わった名だな。して、ダタッツ君。君は真実を知り、どの道を選んだ?」
「……」
グランニールは一触即発の体勢のまま
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