第3話 戦士達の決断
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れを悟るや否や、ダタッツは目を細めて屋敷へ疾走する。全てを飲み込まんと溢れるプレッシャーが、警鐘となっていた。
◇
全ての兵力を出し尽くしたのか、すでに屋敷はもぬけの殻となっていた。衛兵一人残さず駆り出し、結果ダタッツ一人に全滅させられたようだ。
屋敷内に辿り着いた黒衣の剣士は、あちこち亀裂が走る天井や床を見渡す。悍ましい殺意だけが充満し、それ以外の人の気配がまるで感じられない――さながら、幽霊屋敷のようであった。
だが、薄暗い視界であっても殺意の出処を探し当てることはできる。その闇に淀んだ気配を肌に感じたダタッツは、ひび割れた壁に手を這わせながら、屋敷内を進む。
――やがて見つけた「出処」で、地下に続く大穴を見つけたのは、その直後だった。
その穴からは、まるで噴火のように禍々しい殺意が噴出している。……全てを察するには、それで十分だった。
ダタッツは腰から銅の剣を引き抜き、すぐさま穴に飛び込んで行く。そして、空中でふわりと一回転して着地した先では――
「……!」
――燭台に僅かに照らされただけの、無機質な空間。その床や天井に飛び散る、おびただしい血痕。
無音に等しい、この静けさの中で……天井から滴り落ちる血の音だけが、無情に反響していた。
こちらに向けられる、二つの青い光。その周囲には、禍々しい鉄仮面と鎧に身を固めた二刀流の剣士のシルエットが、おぼろげに伺える。
そして剣士の足元には。
血だるまになるまで切り刻まれた、グランニールが倒れていた。
「……ッ!」
この地下室に漂う血の匂い。天井から滴り落ちる血の音。それが誰のものかが明白になった今、もはや容赦の余地はない。
ダタッツは一瞬にして仇敵の懐に踏み込むと、横一閃に剣を振り抜く。二刀流の剣士――即ちシンは、その外見にはまるで似合わない身のこなしで、ひらりとそれをかわした。
シンが地面に着地した瞬間、無音だったこの空間に凄まじい金属音が反響する。その轟音が、決戦の幕開けを告げていた。
「グランニールさん!」
だが、ダタッツはシンと相対しつつ、グランニールへの対処を優先した。先ほどの一閃も、グランニールからシンを引き離すため。
声を掛けられた老境の武人は、うめき声と共に身を起こすと、朦朧とした己の視界に黒の長髪を映した。
「……ダタッツ君、か」
「遅くなりました。シュバリエル君は?」
「逃げたバルキーテを追った……。すまん、君にこのようなことを」
「……いえ。ジブンはすでに、彼と戦うことも覚悟の上でしたから」
壁にもたれかかりながら、グランニールは意識を明瞭に覚まし、身を起こしていく。全身を刻まれ、これほどの血飛沫を上げていながら、まだ立ち上がる体力まで残
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