第3話 戦士達の決断
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そして、冷静さを欠いた姿に警鐘を鳴らす父の制止さえ振り切り。激情の赴くままに、四矢を同時発射した。
狙うは、鎧の隙間。関節稼働部にある、鎧に守られていない箇所。
――だが。
「……っ!?」
確実に、射抜いたはずの、その箇所からは。僅かに血が滴るのみで。
シンは、まるで気にも留めない様子で佇んでいた。それはさながら、蚊が刺した程度にも感じていないかのように。
グランニールの蹴りを、粗末な盾と腕力だけで防御できるダタッツですら、獅子波濤に対しては回避を優先していた。
だが、今回のシンは避けようとすらしなかった。射られたこと自体を認識していないわけではない。今までの五年間に渡る戦いでは、シンはシュバリエルの矢は必ずかわしてきた。
……今まで矢を回避していたのは、単なる戯れ。本来ならば獅子波濤など、防ぐまでも避けるまでもない。
僅かに力こぶを膨張させるだけで、肉体から刺さった矢を強引にひり出した彼の行動が、言外にそう宣告しているようだった。
「バカ、な」
シュバリエルとしては、必殺必中の勢いで放った技だった。が、それは当の相手にとっては、取るに足らない児戯に等しい。
目の前の現象に、そう告げられた少年は――両膝を着いてしまった。そんな彼に、シンの凶眼が向けられる。
「――これ以上。お前には、誰一人傷つけさせんッ!」
だが、そこから始まる賊への処刑は、父であるグランニールが許さなかった。彼の脚は弧を描いてシュバリエルの頭上を越え――シンの顔面に向かう。
その一閃を、シンが二本の剣の腹で受け止め。地下室全体に、強烈な反響音が轟いた。
「ひ、ひひぃ! や、やれシン! さっさとやってしまぇえ!」
その音に怯えるバルキーテは、何かを振り払うかのようにじたばたと暴れながら、シンの背後に悲鳴を飛ばす。
そんな彼に言われるまでもなく、凶眼の鉄仮面は眼前の仇敵を狙い、剣を振り抜いていた。その反撃をかわし、後方へ飛びのいたグランニールは、背中で息子に語り掛ける。
「……私が奴を抑える。お前はその隙に、バルキーテを捕らえろ」
「と、父さん! 一人なんて無茶だ!」
「忘れるなシュバリエル。我らは王国貴族に名を連ねる者として、民を守るために身を粉にして戦う義務がある。……怯えながらでも構わん。お前やるべきこと、なすべきことを為せ」
「……! は、はい!」
そして、シンとの戦意を揺らがされた息子へ、次の目的を命じる。父の言葉に奮起するシュバリエルは、弓を拾うと険しい顔つきを取り戻し、別の階段から地上へ逃げるバルキーテを追った。
そんな次男の背を見送り。グランニールは、改めてシンと一対一で対峙する。その瞳に、微かな憂いを秘めて。
「……私が、終
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