第3話 戦士達の決断
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、あくまで穏やかな口調で問い掛ける。一昨日の初戦から、すでにダタッツの人格を看破していた彼は、眼前の剣士がバルキーテに与するとは考えにくい――と見ていた。
一方、ダタッツはグランニールの真摯な瞳を真っ向から見つめ、なおも剣を構える。その姿勢から、あくまで自分達と戦うつもりだと睨んだシュバリエルは、すでに四矢を構えて獅子波濤の体勢に入っていた。
『……あんたは、あたし達の敵なの? 味方なの?』
「……」
剣士の脳裏に、少女の問い掛けが過る。すでに彼の後ろでは、大勢の王国騎士が集まっていた。
「ダタッツ様ーッ! やっちまってくだせぇーッ!」
「あんのクソ海賊共に、今日こそ正義の鉄槌をーッ!」
その誰もが、後ろから自分を囃し立てている。あの時のように、やってしまえ――と。
そんな彼らの様子と、こちらを伺う海賊親子を交互に見やり。ダタッツはふぅ、と小さく息を吐く。
そして。
「選ぶも何も。ジブンの道は、はなから一つです」
百八十度反転し、銅の剣を振り上げ――何事かと目を剥く騎士達に。
剣を、投げつける。
だが、それはもはや「投擲」などではない。矢よりも。音よりも。全てを穿つ速さで彼の剣は空を裂き、その波動が騎士達を吹き飛ばす。
「ぎゃあぁああッ!? な、なんだ今のはァァァ!?」
「ら、乱心だァァァッ! ダタッツ様の、乱心だアァアァアッ!」
まるで、吹き荒れる嵐。さながら、剣の旋風。たった一本の腕から放たれた剣の風が、数十人の騎士を一網打尽にしてしまった。
「……! これは……!」
「な、なんだよ今の技……!」
予期せぬ展開に騎士達は騒然となり、その技を間近で目撃した海賊親子にも、衝撃が走る。シュバリエルは驚愕のあまり、弓兵でありながら矢を取り落としてしまった。
そんな中、グランニールはダタッツが放った技から、ある一つの結論にたどり着く。
(――帝国式投剣術。遥か昔、投石機の類が発達するより以前の時代……空から襲い来る飛龍に対抗するため、当時の帝国騎士が編み出したという古代の対空剣術。槍や矢では貫けぬ鱗を、剣の質量を以て破壊するために練磨された飛空の剣。……投石機や大砲の発達に伴い、廃れたはずのその剣技を操る剣士は、この現代には数えるほどもいない)
ダタッツの技から、そのルーツを見抜いたグランニールは、彼がその技を使って見せたことから繋がる「結論」に、息を飲む。
(……その一人は。かつて超常の力を持つ勇者でありながら、人間に向けてその力を振るったという悪魔の勇者。戦争の果てに戦死したと伝わる、「帝国勇者」だが……)
愛息を奪った災禍の勇者。その得体の知れぬ影と、自分達に背を向けて投剣術を放った青年の影が重
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