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ダタッツ剣風 〜災禍の勇者と罪の鉄仮面〜
第2話 港町の真実
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集めることも出来ず、常駐していた王国騎士達と協力して街を守るために戦う道を選んだ。

 降伏すれば、待っているのは殺戮と略奪。町民を逃がす足も手に入らない以上、死力を尽くして戦うしかなかったのだ。

 町民を守るために自ら戦場に立つグランニール。そんな町長の姿に、数多くの王国騎士が加勢した。彼の長男であり、王国騎士達を束ねる隊長格だった青年アルフレンサーも、その一人である。
 アルフレンサーは父グランニールと、弟シュバリエルを守るため、斬り込み隊長として帝国軍と激突。獅子奮迅の活躍で、帝国軍の攻勢を抑え込んだ。
 だが、結局は多勢に無勢。帝国軍の物量に勢いを殺されたアルフレンサーは、父や弟が撤退する時間を稼ぐことが精一杯だった。

 さらに、そんな彼にとどめを刺すように。帝国勇者が、戦場に加わったのである。
 港町近辺の森林にて、帝国勇者と交戦したアルフレンサーは敢え無く討ち取られ、奈落の底へと消えた。父と弟の無念を残して。

 やがて王国騎士達も次々と倒され、グランニールは涙を飲んで降伏を受け入れた。ここまでが、我々にできる精一杯だったのだと。

 しかし降伏後も、港町が帝国軍に蹂躙されることはなかった。

 ――そのタイミングで、バルキーテが現れたのである。グランニールから盗んだ資金を元手に、帝国軍と賄賂で繋がった状態で。

 グランニールやアルフレンサーが抗戦している間に、帝国軍と接触して繋がりを持っていたバルキーテは、賄賂と引き換えに港町の統治権を買収。港町の支配者として返り咲いたのだ。
 賄賂の工面のため、重税で町民達を苦しめながら。

 今ではバルキーテの圧政に苦しみながら、辛うじて生きている町民が大半となっている。かつてグランニールと共に戦った騎士達は戦場に散り、今ではバルキーテの息がかかった者達ばかりが、王国騎士としてこの町で幅を利かせていた。

 一方、バルキーテの裏切りにより殺されかけたグランニールとシュバリエルは海に逃亡することを余儀無くされ、以来五年間、海賊としてバルキーテから町を解放するための戦いに挑み続けている。
 バルキーテの喰い物として街が潰されるくらいなら、帝国軍の常駐を許した方がマシ、という見解なのだ。窮地の際にあっさりと町を裏切り、賄賂で権益を買収した彼の所業を鑑みれば、それも当然と言えるだろう。

「アルフレンサー様さえご健在なら、バルキーテなんてすぐにやっつけられたのに……。シンのせいで……」
「……あのシンという男、一度だけ会ったが間違いなく只者じゃなかった。何者なんだ……?」
「わからないの。バルキーテの用心棒ってことしか……。それと何故か、アルフレンサー様と同じ剣術を使うらしいの。この町を押さえつける力の象徴が、アルフレンサー様の技を使うなんて……許せないッ
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