第2話 港町の真実
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撃のしようもない。むしろ彼女にとっての懸命な抵抗は、余興として騎士を愉しませているようだった。
王国騎士にあるまじき、外道の所業。本来ならばそう糾弾されるべき彼の行いを、仲間達はニヤニヤと下卑た笑みを浮かべて静観している。そればかりか、便乗して彼女に手を出そうという相談まで始めていた。
「タスラ! ど、どうかおやめくださ――ぐっ!」
「と、父さんっ!」
「余計な真似すんじゃねーよ、今イイところなんだからよ」
無力な市民達に、それを止める力はない。辱めを受けようとしている娘を救おうと、無謀を承知で助けに行こうとした父は、彼の仲間に取り押さえられてしまった。
その惨状に声を上げようとしたタスラは、カウンターの上に押し倒されてしまう。直後、騎士の膂力が彼女の服を剥ぎ取って行った。
「きゃあぁあ!」
「ほおぉ、こりゃ予想以上だ。肌も白くてたまんねぇな、ホラこっちも見せな!」
スカートとブラもむしり取られ、白いパンティ一枚にされて行く。露わにされた胸を両手で隠そうにも、騎士の腕力で押さえつけられていては叶わない。
そして最後のお楽しみとばかりに、その指がパンティに引っ掛けられる。陵辱の未来を予感し、羞恥の余り顔を赤らめる彼女は、目尻に涙を浮かべながら瞼をきつく閉じるしかなかった。
そして無情にも、彼女の秘部を守っていた最後の砦が破られる――瞬間。
「ぼげがッ!?」
「……っ!?」
騎士の顔面に何者かの裏拳が減り込み。同時に、タスラの肢体の上に、緑の上着が被せられた。
何が起きたかわからず、上着で前を隠しながら身を起こした彼女の前に――黒の長髪と赤マフラーを靡かせる、謎の男が現れる。
黒衣を纏う黒髪の剣士。得体の知れない第三者の乱入に、騎士達や市民達の間にどよめきが広がる。だが、当の剣士はそんな周囲を気にも留めず、尻餅をついたまま自分を睨みあげる騎士を一瞥した。
「なんだァてめェは! この町の騎士様に舐めた真似して、ただで済むと思ってんじゃねェぞ!」
「……」
そんな彼に向けて飛ぶ怒号で、周りの騎士達が我に返っていく。程なくして彼らは、自分達に楯突く曲者に向け、剣呑な眼光を集中させた。
――が。その時は長くは続かなかった。
「お、おいお前ら何してんだよ!? ダタッツ様だぞ、その人!」
「殺されるぞ!?」
ゲラゲラと嗤いながら酒場に入ってきた、他の騎士が驚愕の声を上げたためだ。彼らはグランニール一味を撃退したダタッツを相手に、剣呑な面持ちで剣を抜いている仲間達の光景を目の当たりにして、酔いが覚めたかのように叫ぶ。
「……ッ!? ダ、ダタッツっていやぁ、昨日グランニール一味を追い払ったって言う……!?」
「確かシン様に並ぶ実力者って……!」
「……
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