第2話 港町の真実
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せん、もう今日の分は……」
「うるせぇ、だったらさっさと仕入れてきやがれッ!」
「がぁッ……!」
「父さんっ!? ――ちょっとあんた達、いい加減にしなさいよ! それが騎士のやること!?」
そんな中、酒が切れたことにいきり立つ騎士の一人が、バーテンダーを殴り倒してしまった。その短い悲鳴を聞き付けたウェイトレスが、怒号を上げて詰め寄って行く。
周りの客はウェイトレスを引き止めようとするが、彼女は意に介さずズカズカと踏み込んで行った。
翡翠色のショートヘアを揺らし、強気な輝きを放つ碧眼で騎士を射抜く、色白の美少女。床を踏み鳴らして進むたびに、そのたわわな双丘が上下に揺れていた。
そんな彼女の眼光を浴びてなお、騎士は怯むことなく下卑た笑みを浮かべる。上玉の獲物が自分から寄ってきた――と。
「へへ、なんだぁタスラ。守られるだけのか弱い一般市民が、命張って戦って下さってる騎士様に口答えかぁ?」
「どの口がッ……! あんた達、グランニール様を裏切って恥ずかしくないの!? 戦前のこの町を、忘れたのッ!?」
「タ、タスラやめなさい!」
「父さんは黙ってて。あたし、やっぱり許せないよ。こんな奴らが、バルキーテがのさばってるままなんて! みんなシンのせいよ、あいつさえいなかったらグランニール様がとっくに……!」
殴られた身でありながら、娘の糾弾を止めようとするバーテンダー。そんな父の制止も聞かず、タスラというウェイトレスはさらにいきり立つ。
そんな彼女がしきりに揺らす胸を、厭らしい眼差しで見遣りながら、騎士は下品な笑い声を上げた。
「ひ、ひひひひ。どうやら娘の教育がなってねぇようだなマスター。いいかタスラ、この世界は所詮、弱肉強食。強ければ何をしたって許されるし、弱い奴には何の権利もねぇ。それはこの王国が、帝国に押し潰された『歴史』が証明してる」
「……何が言いたいの」
「つまり海賊に堕ちたグランニールは弱いから悪いってことさ。バルキーテ様が強い、だから正しい。結局は勝てば官軍なんだよ。グランニールが正しかろうが、負けたあいつは賊軍さ」
「……〜ッ!」
かつてグランニールに仕えていた騎士から、出て来た言葉がそれだった。かつて彼が治めていた平和な港町を知る彼女は、それに耐え切れず――感情のままに右手を振り上げる。
だが、騎士は平手打ちを放とうと振るわれた手を用意に掴み、その攻撃を封じてしまった。
「こ、のッ……!」
「……まー、それはさて置くとしてだ。お前、この五年でイイ身体に育ったよなぁ。胸も尻もムチムチして、たまんねぇ」
「ひ、やッ……!」
そして歪に口元を緩め、舌舐めずりと共に彼女の肢体に手を伸ばす。豊満な肉体を這い回る手の感触に、少女は苦悶の声を漏らした。
力で抑えられては反
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