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ダタッツ剣風 〜悪の勇者と奴隷の姫騎士〜
第三章 贖罪のツヴァイヘンダー
第46話 新たな時代
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 ――それから、しばらくの月日が流れた。

「報告によれば、ヴィクトリアの身柄は無事に王国で保護されたようだが――やはり、その王国騎士団の予備団員だというダタッツなる者が……タツマサであると?」
「はい。示された特徴とも一致しております、間違いありません」
「そうか……」

 帝国城の皇室にて、言葉を交わす皇帝とバルスレイの元副官は、互いに渋い表情で纏まった書類を見つめていた。そこには、王国内で行われた調査結果が記されている。
 王国騎士団に所属するダタッツという男は――かつての勇者であると。

「して、いかがされます?」
「決まっていよう。直ちに使者を送り、タツマサを連れ帰る」
「ですが、勇者様は世間的にはすでに死んだ身。勇者様もそれを鑑みて、ダタッツと名を変えられたのでしょう。無理に帝国の勇者様とお呼びしてお連れしようとしても、御本人が納得されるかどうか……」
「わかっておる。だから、ヴィクトリアに代わる王国からの剣術指南役として『王国騎士のダタッツ』を指名するのだ。一時的でもここに連れて来ることが出来れば、いくらでも話はできる」
「……は、畏まりました。では、そのように」
「うむ。……頼んだぞ」

 かつて帝国勇者と呼ばれた青年を、取り戻すため。元副官は皇帝から預かった資料を手に、皇室を後にする。
 その背中を見送った後、皇帝は席を離れ――窓から、緑と花で彩られた庭園を見下ろす。正確には、その中に佇む愛娘を。

(フィオナ……)

 深窓の皇女フィオナは、物憂げな表情で花々を見つめ、蒼い瞳を揺らしている。愛する勇者の行方を想い続けていることは、誰の目にも明らかだ。

(案ずるな、フィオナ。生きている限り――諦めぬ限り。会える可能性は、きっとある。余が、それを証明してみせよう)

 今もなお、一途に勇者を慕う娘のため。皇帝は窓の縁を握り締め、青空を見上げる。あの少年も、この空の下で生きているのだろうと、思いを馳せて。

 一方、その頃。

「ぐぎゃあッ!?」

 帝国城の練兵場からは、耳をつんざくような悲鳴が絶えず響いていた。ただの訓練で上がるような叫びではなく、その異常さに気づいた城の者達は続々と練兵場に集まって行く。
 そして彼らは――目撃する。斧と盾を装備した一人の少年が、帝国騎士達を相手に大立ち回りを演じている光景を。

「お、おい。なんだあのガキは? 見たところ、十二歳くらいだが……」
「なんでも、帝国騎士団に入りたがってるらしいんだが……年齢を理由に断られてな。それでも食い下がってくるから、騎士団の連中が騎士団全員に勝ったら入れてやるって言い出して……」
「はぁ!? 全員!? 無理に決まってんだろ、あのガキ! 本気でやるつもりでいるのか!?」
「わからねぇが……もう、騎
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