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ダタッツ剣風 〜悪の勇者と奴隷の姫騎士〜
第三章 贖罪のツヴァイヘンダー
第41話 十字の傷
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者も……。

「帝国、勇者……。帝国勇者、帝国勇者! ――ダタッツぅぅうぅうっ!」

 そう察した瞬間。少女騎士は初めて。
 黒髪の騎士の名を、呼ぶのだった。

「……ヴィク、トリアァッ!」

 そして。彼の首からはらりと落ちた、赤マフラーを拾う姫騎士は。瞳に涙を滲ませながらも、強い眼差しを消すことなく。
 王家の剣を振りかざし、ヴィクトリアと相対するのだった。

「……なぜ、怒るのです。奴は、我々の仇でしょう」
「わかっています! いいえ、わかってしまった。なぜその仇が斬られて、こんな涙が出るのか。なぜ、こんなにも胸が苦しいのか。わかってしまったからこそ、わたくしは……あなたをッ!」

 そう。ついにダイアン姫は、認めてしまった。この瞬間、認めてしまったのだ。

 自分がダタッツという男を、愛してしまったのだと。

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