第三章 贖罪のツヴァイヘンダー
第39話 運命の対決
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城門に現れた王国最強の騎士。その威風堂々たる姿に、王国騎士達は戦慄する。
このような存在に、我々は立ち向かわなくてはならないのか――と。
「無茶だ……やっぱ無茶だよ、ヴィクトリア様と戦おうなんて!」
「バルスレイ将軍が敵わないのに、帝国騎士団だって負けたのに、俺達がどうこうできるはずないじゃないか!」
その威圧感に屈してか、戦う前から彼らは尻込みしてしまっている。その姿を一瞥するヴィクトリアは、深くため息をついた。
「……ここまで性根が腐っていようとはな。父上が健在だった頃とは、まるで正反対だ。やはり、私が血を代償に創り直すしかなさそうだな」
次いで、瓦礫の上に乗った体勢から、弍之断不要の構えを見せる。――この瓦礫全てを弾丸に変え、ぶつけるつもりなのか。
「いけないッ! 騎士団よ、引きなさい! 逃げなさいッ!」
ようやく追い付いたダイアン姫は、その光景からヴィクトリアの行動を読み、悲鳴にも似た声色で叫び出す。石畳を砕くだけでも相当な威力だったというのに、巨大な瓦礫や木片で同じ技を発揮したら――どれほどの被害になるというのか。
少なくとも、多くの騎士が集まっているこの状況で破散弾を使われるようなことがあれば、王国騎士団が全滅する恐れがある。……恐らくはそれこそが、彼女の狙いでもあるのだから。
「――砕け散れ、跡形もなく!」
そして、姫騎士の予感に沿うように――ヴィクトリアの剣が振り上げられた。
それを目の当たりにした誰もが、悲劇の到来を悟った――その時。
「血の代償なんか、いらないッ!」
けたたましい少女騎士の叫びが王宮内に轟き――青い髪の少女が、騎士達を掻き分けてヴィクトリアの前に立つ。
かつてダイアン姫と共に指導したこともある、先代騎士団長の忘れ形見を前に――ヴィクトリアは初めて、剣を止めた。
「ロークか……。腐った騎士ばかりだと思っていたが、お前は違うようだな。立派な顔付きになっている」
「ヴィクトリア様! 確かに、今の王国騎士はダメダメかも知れねぇよ! けど、だからって王国人同士が傷付け合うなんて間違ってる! アイラックス将軍が、そんなこと望むもんかよ!」
「望むはずは、ないだろうな。そんなことはわかっている。だが、今の惰弱な王国をそのままにしていては、遠からず次の侵略に屈してしまうだろう。それを避けられるならば、誰にどれほど忌み嫌われようと、蔑まれようと私は構わん」
「そんなっ!」
「――さぁ、そこをどけ。お前という芽まで摘んでしまっては、再興も何もあったものではない。私達で力を合わせ、どのような力にも屈さぬ王国騎士団を創り上げるのだ」
ロークにとって、ヴィクトリアは師匠であり母でもあった。そんな彼女からこれほど買われているとなれば、両
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