第三章 贖罪のツヴァイヘンダー
第39話 運命の対決
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大な被害を被っていた。あちこちに隠れていた王国騎士団も、揃って腰を抜かしている。
ダイアン姫とロークも――二人の余裕を残した態度に、驚愕していた。
「パリィ……!? 相手の攻撃を盾で受け流す、あのパリィ!? それで破散弾を全て打ち落とした、とでも言うの!?」
「こ、これが……勇者と勇者の末裔の……超人同士の、戦いなのか……!?」
そんな彼女らの様子を尻目に、ダタッツとヴィクトリアは再び剣を手に睨み合いを始める。先ほどの凄まじい攻防など、なかったかのように。
「貴様のしたことは風の噂で聞いている。ババルオを、倒したそうだな。……何を望む? 帝国を裏切り、王国に取り入り、畏怖と憎悪を浴びてまで、貴様は何を望んでいる?」
「……贖罪」
「贖罪、か。ならば大人しく、この剣にかかるがいい。命を差し出せば、もう罪の意識に苛まれることもなかろう」
「――死ぬことが許されたなら、ジブンはすでにそうしていた。苦しみから逃れるための死など、逃げ以外の何物でもない。だからジブンは、生きて君達に償い続けなくてはならないんだ」
そして――ダタッツの強い眼差しに射抜かれた女騎士の眼光が、鋭さをます。刹那、彼女の籠手がギリギリと柄を締めつけた。
「そうか、それはご苦労だったな。――ならばその旅、私が終わらせてやろう」
「終わらせるのは君じゃない。――ジブンだ」
その問答が、合図だったのか。ヴィクトリアが剣を振り上げ飛び掛かる瞬間、ダタッツも剣を翳して迎撃に入る。
双方の剣が交わり、激しい金属音が響き渡ると――二人は幾度となく互いの得物をぶつけ合いながら、王宮の中へと戦いの場を移して行く。
ある時はヴィクトリアが攻め、ダタッツが守り。またある時は、ダタッツの攻撃をヴィクトリアが凌ぐ。
休むことなく続く、剣と剣の攻防。それを見守るダイアン姫とロークは、不安げな面持ちで彼らの行方を追う。
一抹の不安を覚えながら――それでも、ダタッツの勝利を信じて。
……一方。
王宮の最上層で、病床に伏していた国王は。
遥か下の階層で繰り広げられている剣戟の音を、微かに感じ取っていた。
「……始まってしまったか」
そして、蚊が鳴くような小さな声で呟き――窓から伺える満月を見上げる。弱った身体に似合わぬ、力強い眼差しで。
――まるで、今夜が見納めであるかのように。
「……今や、頼れる者は貴殿しかおらぬ。……頼んだぞ、勇者ダタッツ」
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