第三章 贖罪のツヴァイヘンダー
第38話 弐之断不要の威力
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度皆殺しにして。新たに再編すべきなのだろう。この私が率いる新しい王国騎士団を、な」
そして、弐之断不要の構えを取る彼女の気迫が、最高潮に達した瞬間。
「か、かかれ! なんとしても取り押さえ――!」
「いかん! 下がれ、前に出るなァッ!」
恐怖に屈しまいと気を張る余り、冷静さを欠いた帝国騎士団が一斉に飛びかかって行く。上官の命令を無視してしまうほど、焦燥を露わにして。
――次の瞬間。
「弐之断不要――破散弾ッ!」
ヴィクトリアの叫びと共に、勇者の剣の刀身が唸りを上げ、地面に振り下ろされた。
その一撃により、石畳は粉々に破壊され――この場にいる人間全てに、破片となって襲いかかる。
「ぐぁあああぁあッ!」
「ぎゃあぁあぁあぁッ!」
帝国騎士団とバルスレイを、容赦無く撃ち抜いて行く石の嵐。それを防ぐ手立てなどない彼らは為す術もなく、悲鳴を上げて倒れ伏して行く。
「なんて力……あうっ!」
さらに、その圧倒的な破壊力の余波はダイアン姫にまで及んでいた。目の前に飛んできた流れ弾を察知した彼女は、咄嗟に盾で防いだのだが――勢いを殺しきれず、尻餅をついたのである。
彼女が立っていたのは、ヴィクトリアのほぼ真横。弾が飛んで来やすい場所ではないが、危険なことには変わりないし、本来ならば使い手であるヴィクトリア本人がそれに気づかないはずがない。
つまり彼女はダイアン姫が安全でないにもかかわらず、破散弾を放ったのだ。
(わたくしがいるにもかかわらず、躊躇なしに弐之断不要を……! しかも、拳ほどの大きさもない小石をぶつけられただけなのに、これほどの威力があるだなんて……!)
しかし、ダタッツから今の彼女の危険性を聞かされていたダイアン姫は、その事実よりも――盾を持つ手に伝わる衝撃から感じる、破散弾の威力に驚愕していた。
彼女が盾で凌いだ小石と比べて、バルスレイ達が生身のまま受けた破片は余りにも大きい。受けたダメージは……計り知れない。
事実、帝国騎士団はあっけなく壊滅しており……唯一意識を保っているバルスレイさえも、剣を杖代わりになんとか立っている状態だ。
「……随分と、やって……くれたものだ」
「さすがに、歴戦の猛将と謳われるだけのことはあるな。長い戦いの人生にも疲れただろう。今、楽にしてやる」
「まだだ……まだ私が生きている限り、勝負は……」
「――黙れ下郎がァァアアァッ!」
そんな彼が、なおも戦おうとしている姿に、業を煮やしたか。怒号と共に、ヴィクトリアは彼の首を掴むと――激情のまま、彼を砲丸のように投げ飛ばしてしまった。
紙切れのように吹き飛ばされた老将は、その勢いのまま城門を突き破り――王宮内に墜落する。その緊急事態に、王宮は騒然と
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