第三章 贖罪のツヴァイヘンダー
第37話 幕開け
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代の投剣術を復活させようと考えられたのですか? 剣士としての探究心ゆえ……でしょうか」
「……ふふ、姫様が考えられておられるような、殊勝な動機ではありません」
己の過去を問われ、老将は自虐するような笑みを浮かべる。遠い過去を見つめるその瞳は、夜空の先に在る祖国へと向けられていた。
「公爵家の三男坊だった私は、貴族としての教養を備えた兄達とは違い、剣術にしか興味のない暴れ者でした。十四の頃に父の薦めで帝国騎士団に入るまでは、私は腫れ物扱いでしたな。――投剣術を知ったのは、丁度その頃です」
「……!」
「私は剣士としての自分を誇り、騎士団に入団しました――が、いかに凄腕の騎士といえど、弓や槍に剣で立ち向かうことなどできはしない。剣士は万能にはなりえない。その現実を、突き付けられたのです」
「それで……投剣術を?」
「ええ。今にして思えば、それは当然のことなのですが……若過ぎた私には、それが耐えられなかった。遠くから敵を攻めるような連中に、自分の剣が負けるなんて我慢ならない。――ゆえに、古文書に記されていた投剣術を独学で研究するようになったのです」
「それで……」
あまりといえばあまりにも、子供のような理由。そんな動機から、あの驚異的な対空剣術が現代に蘇ったのかと――ダイアン姫は、しばし呆気にとられていた。
「……かつてのダタッツに稽古を付けていた頃は、まるで若き日の自分を見ているようでした。ひたすら無鉄砲に、自身を取り巻く不条理を吹き飛ばそうとする」
「……」
次いで、バルスレイに対して、微かに嫉妬もしている。自分が知らない彼の姿を、多く知っている老将に対して。
「あの熱意が健在ならば、勇者の剣に屈することもありますまい。信じましょう、彼を」
「……はい」
それに気付かぬ振りを通すバルスレイは、愛弟子の勝利を願い、彼がいるであろう王宮を見上げる。
そして。
眼前に、「一太刀」が迫った。
「ぬゥッ!」
その一刀に絶たれようとした老将は唸りを上げ、腰から引き抜いた剣で咄嗟に受け止める。激しい金属音が周囲に響き、剣同士が火花を散らした。
月光を背に振り下ろされた、光速の一閃。それを凌いだバルスレイの眼前には――
「帝国将軍、バルスレイだな」
――憎悪。怨恨。悪意。殺意。全ての負の感情に支配され、変わり果てた姿の。
「王国騎士ヴィクトリアの名の下に――貴様を、討つ」
「そんなっ……ヴィクトリア!」
「とうとう、現れたか……!」
王国最強の騎士が、立ちはだかっていた。
女性らしさを隠す荘厳な鎧を纏い。正規団員のそれよりも、勇ましくそそり立つ一角を備えた兜を被り。
『チダ……ヨウヤク、チガスエル……』
呪わ
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