第二章 追憶のアイアンソード
第30話 呪いの亡霊
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かわすために同時にその場から飛び退き、距離を取った。
その隙に村人を庇うように矢面に立ち、竜正は銅の剣を静かに構える。
「奴らとは俺が戦います、村長達はベルタを連れて脱出を!」
「な、なんだと!? 君を置いて行けというのか!」
「この暗闇の中では勝負になりません。早く!」
「くっ……!」
村長は竜正の判断が間違いであるとは――言い切れなかった。実際、村人のほとんどは敵の異様さに戦意を失っている上、全く戦えないベルタもいる。
対して、竜正だけは男達と対等以上に渡り合っているようだった。無理に戦おうとしても足手まといにしかならないことは、明白である。
多数の人命を取って村の仲間を見捨てるか、義理を取って無理矢理戦いに加わるか。苦渋の選択を迫られ、村長の頬を汗が伝う。
……しかし、ゆっくり考えている時間などない。すでに男達は剣を振りかざし、竜正に迫ろうとしていた。
「……約束してくれタツマサ君! 必ず生きて帰ると!」
「――わかりました」
結果として、村長は村人を一人でも多く逃がすことを決断する。……そのために、竜正を囮にすることを。
だが、竜正は恨み言一つ吐かず、それどころか安堵した様子で、村長に微笑みかけるのだった。そして、男達に向け――銅の剣を構える。
(あの感触――やはり連中、あのマントの下に王国製の鎧を着込んでいるな。戦場から奪ってきたものをそのまま着てるんだろうが……これ以上、この国のために戦ってきた騎士の遺品を、こんなことのために使わせるわけにはいかない!)
静かに、それでいて熱く戦意を滾らせる竜正に、男達は化け物のような呻き声を上げながら突進していく。
息を合わせた連携など欠片もない、ただ群がるだけのがむしゃらな攻撃。しかしその不安定さが、先の読めない不規則な連撃を生んでいた。
「……そんなもので、振り回される俺だと思うな!」
しかし、竜正はそれにペースを乱されることなく、あくまで冷静に剣を振るう。
最も近い距離まで接近してくる敵から、各個撃破で切り伏せていく。
やはり、最初に感じた手応えは気のせいではなく――倒れて行く男達は皆、マントの下に王国製の鎧を装備していた。
騎士の証であり、誇りである武器や防具を略奪や殺戮の道具に使う。それが如何に許し難いことであるかは、騎士道に疎い竜正でも理解していた。
命を懸けて戦ってきた帝国騎士達も、己の武具を大切にしていたのだから。
「グェッ!」
「ガァアッ!」
「す、すげぇ……! あんなに一斉に襲われてるってのに、一度も斬られてねぇ! しかも、今度は一撃だけであいつらを……!」
「タツマサ君……君は、一体……!?」
次々と呻き声を上げ、倒れて行く男達。すでにその数は半数以下になって
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