暁 〜小説投稿サイト〜
ダタッツ剣風 〜悪の勇者と奴隷の姫騎士〜
第二章 追憶のアイアンソード
第28話 帝国勇者の最期
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た彼の体は、親友のそばに力無く横たわる。

「ロ、ロッコ……! うわぁああっ!」

 生まれた頃から、ずっと共に生きてきた友人。そんな彼が、僅か一瞬で動かぬ肉塊に成り果てた。
 その事実に押し潰された、最後の敗残兵――ルドルは、悲鳴を上げて森の奥へ駆け出して行く。

「いた! いたぞ、あそこだ!」
「クソガキが、叩き殺してやる!」

 彼を見つけた帝国兵達は恐怖に怯えていた表情を一変させ、鬼の形相で茂みに足を踏み入れて行った。
 そして、この場の生存者は黒髪の少年一人となり、森には本来あるべき静寂が訪れる。

「……ごめん。ごめんな……」

 少年は小さく呟くと、ロッコだった骸の額から自分の剣を引き抜き――開かれた瞼を、優しく閉じさせる。
 そして、悲しみに暮れた表情を浮かべながら、帝国兵達を追うように茂みの奥へと進んでいくのだった。

(……一体、いつになったら……終わるんだ)

 ――やがて少年は茂みの先にある、深い崖へとたどり着く。すでにこの場には帝国兵達が到着しており、彼らは最後の敵を血眼になって捜査していた。

「クソ、どこに行きやがったあのガキっ!――あっ、ゆ、勇者様!」
「げ、現在は残る敗残兵共を捜索しているところでして……!」
「……わかっています。引き続き、捜索の方をお願いします」

 自分を畏れるように距離を置く帝国兵達を一瞥し、少年は崖を覗き込む。彼の目に映る闇は、底が見えないほどの深さであった。
 まるで――少年の罪を象徴しているかのように。

(あいつが……ロッコを、みんなを……ちくしょう、ちくしょうっ!)

 そんな彼の背を、草葉に隠れた敗残兵が狙っていた。茂みに伏せ、帝国兵達に気づかれない位置から少年を狙うルドル。
 その手には、傷だらけの銅の剣が握られていた。

(ハンナ……親父……俺に、俺に力を貸してくれ!)

 故郷で帰りを待つ家族を想い、ルドルは短剣をより強く握り締める。そして、その切っ先が少年を捉え……太陽の光が、刃に鈍い輝きを与える瞬間。

「わァァァアアアアッ!」

 絶叫と共に――ルドルの小さな身体が、茂みの外へと弾き出されて行く。

「なっ、あんなところに!?」
「勇者様、危ないッ!」

 その叫びに反応した帝国兵達は、懸命に少年に呼びかける。だが、彼はそれに気づく素振りすら見せず――

「……ッ!」

 ――悲鳴も上げられないまま。その背に、銅の剣を突き刺されるのだった。

「……ぐ……」
「ハンナァアアアアッ、親父ぃぃいいっ!」

 血飛沫を上げる少年の身体はぐらりと傾き、崖の奥へと落ちていく。その後を追うように、ルドルも勢いのまま墜落していった。
 一瞬にして、闇の中へと消え去った二人。残った帝国
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