第二章 追憶のアイアンソード
第24話 王国将軍アイラックス
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に勢いがこちらにある以上、この流れに乗じて奴らを撃滅すれば……!」
「騎士団長。敵方はこちらの十倍以上の軍事力を有しているのだ。一度や二度の勝利に浮かれ、深追いするのは危険過ぎる。それにあの巨体を運ばせれば、それだけ人員――つまりは戦力を削ることができる」
「しかし……!」
「ルーク。私は王国軍の命運を預かる者として、誰一人犬死にさせるわけには行かないのだ。この少年兵も……お前も」
「……」
追撃より部下達の生存を優先するアイラックスに、騎士団長ルークが食ってかかる。だが、彼の判断が自分を慮ってのことと知ると、強くは追及できなくなっていた。
そんな彼に苦笑するアイラックスは、去り行く帝国軍の背を見遣り、ふと耳にした噂を思い返す。
(帝国がこの戦争に、異世界の勇者を投入しているという話……。事実ならば、私は神の使者に剣を向けねばならなくなる。――勝ち目など、ないやも知れん)
人間同士の戦いは負け知らずでも、魔王さえ凌ぐ超人に通用するとは限らない。
どれほど平和を愛する気持ちを持とうとも、それを実現できる力がなければ無意味であるということを、戦いの中で嫌というほど学んできたアイラックスにとって、その事実は計り知れないほどに重い。
(それでも……私は行かねばならん。国王陛下の御身、ダイアン姫様の笑顔……そしてヴィクトリア、お前の未来を守るためにも……!)
だが。アイラックスの瞳に翳りはない。
あくまで、気高い王国の戦士として。
帝国勇者との対決に、向かおうとしていた。
――そして、僅か数日の時を経て。
同じ髪の色を持つ二人の剣士が、邂逅する。
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