第二章 追憶のアイアンソード
第17話 明かされる物語
[6/6]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
言われている。その後、戦友の僧侶が統治する王国に子孫を残していた――とするならば、この仮説にも可能性が生まれてくるだろう。
アイラックスが健在だった頃から、その強さ故に「彼が勇者の末裔ではないか」いう説は密かに囁かれていた。だが、それには確証に至る根拠などなく、あくまで噂の域を出ないものだったのだ。
その噂が今、当代勇者のダタッツによって証言されたことで――突如、真実味を帯びたのである。
「しかし……。アイラックスやヴィクトリアが勇者の血を引いていたとして……なぜ、彼女は『勇者の剣』を持って行方を眩ましたのだ……。しかも野党共を狂わせ、城下町に被害を齎すなど……」
「お父様! ヴィクトリアは、そんなことをする人間ではありません!」
「『勇者の剣』の力に、彼女が操られているとするならば……今のヴィクトリア様は、危険な状態かも知れません」
「操られて……いるだと? 『勇者の剣』とは、そんな禍々しい力を宿した剣だったというのか?」
ダタッツの言葉に、バルスレイは眉を顰める。彼と共に戦場を駆け抜けてきた自分にさえ、気付かなかった闇があったというのか――と。
「……ジブンが、帝国勇者として生きていた頃の話にも繋がることです。――全てを、お話しましょう」
そして――こちらを見遣るロークを一瞥し、ダタッツは穏やかな口調で……ダイアン姫の、食い入るような視線を浴びながら。
己の過去を語る。
――それは。
異世界の少年、「ダタッツ」こと――「伊達竜正」の追憶であった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ