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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百七十五話 暗い悦び
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達は味方ではない、だから機密も守る必要は無い、そういうことだろう。領地替えも同じだ。
ルビンスキーは当然危険を感じただろう。そして内務省も平民の権利拡大など冗談ではないと考えたに違いない。つまり連中はかなり早い段階で俺とリヒテンラーデ侯を殺す事を考えていたということになる。
俺達は勅令発布前から暗殺リストの上位に名前を並べていたわけだ。敵を特定できなかった事が、俺達を危険極まりない状態にした。間抜けな話だ。ここまで来ると自分が嫌になってくる。
だが、彼らにはなかなか俺達を暗殺する機会が無かった……。いや違うな、エリザベートとサビーネの誘拐、あれは俺、リヒテンラーデ侯、エーレンベルク元帥、シュタインホフ元帥を宮中に引き寄せるのが目的だ!
早朝、混乱の中で俺達を殺す、犯人は門閥貴族という設定だ。万一息が有っても医師に化けた男が殺す。
ようやく見えてきた。あの事件は幾つもの思惑が絡んだ事件だったのだ。ランズベルク伯達はエリザベート、サビーネを誘拐しブラウンシュバイク公達に反乱を起させる事を考えた。
ノイケルンは宮中でクーデターを起しリヒテンラーデ侯に取って代わる事を考えた。もちろんラインハルトと組む事が前提だろう。俺とリヒテンラーデ侯、それに代わってノイケルンとラインハルトだ。
だがオーベルシュタインはノイケルンと組むつもりは無かった。ノイケルンを倒して救国の英雄ローエングラム伯ラインハルトを作る予定だった……。
そしてすぐさま反乱鎮圧の軍を起す。その中で軍を掌握するつもりだったのだろう。内務省は表に立つことなく裏でラインハルトに協力する。軍に必ずしも強い基盤を持たないラインハルトには内務省の協力が必要だったはずだ。つまりオーベルシュタインにとっても内務省にとってもノイケルンは使い捨ての駒だった。
彼らは目的は違ったが、宮中で混乱を起し内乱を起す事で実権を握る、その一点で協力した。しかし俺が装甲擲弾兵を連れてきた。宮中でも彼らを護衛に付けた。そのためクーデターは不発に終わった……。
ラインハルトは俺が雲隠れしていた間随分と焦っていたようだ。となるとやはり企てには絡んでいないだろう。絡んでいればむしろおとなしくしていたはずだ。クーデターの失敗を知りながらオーベルシュタインがラインハルトを止めなかったのはそれが理由かもしれない、敢えて未熟さを晒す事でクーデターを隠す……。
バラ園での暗殺事件は必然だった。あそこは警備も外れる。彼らはあそこでなら暗殺は可能と踏んだのだ。しかもおあつらえ向きに軍は内乱の鎮圧のためオーディンを離れた。千載一遇のチャンスに見えただろう。
我ながら間の抜けた話だ。俺は細い糸の上をその危うさも気付かずに歩いていた。一つ間違えば糸から転げ落ちていただろう。助かったのは偶然に過ぎ
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