第一章 邂逅のブロンズソード
第3話 城下町の料亭
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めに力を尽くすのは当然の責務です」
「は、ははっ! 身に余る光栄ですっ!」
「ありがとうございます、ダイアン姫っ!」
古の勇者が魔王を打ち倒し、今日に至るまでの数百年。帝国は領土拡大のため、幾度となく戦争を繰り返し……戦いのための兵器として、「魔王を討つため」に神から齎されたとされる「魔法」を行使してきた。
そのため、帝国の行いに怒った神の手により魔法の力は人類から失われ――人類最後の希望である「勇者召喚」の儀式を除く全ての魔法が、神の世界へ返納されたと伝えられている。
だが、勇者の伴として魔王に挑んだ僧侶が操っていた「回復魔法」のみは、その僧侶の血筋に残されていた。
異世界から召喚された勇者と共に戦い抜いた、その僧侶こそが――この王国の始祖なのだ。
伝説に語られる僧侶の血統を持つこの国の王族が、勇者召喚の儀式を行える帝国の皇族に並ぶ「魔法使い」であることは有名であり、大陸全土にも広く知られているのである。
ダイアン姫はその美貌ゆえ、数多くの求婚者を集めている人物であるが――諸外国の貴族や王族が彼女を求める理由は、美しさだけではないのだ。
(この世界に残った、数少ない魔法使い……か)
噂でしか知らなかった、唯一無二の存在を見上げ――ダタッツは彼女が背負っているものの重さを、垣間見るのだった。
そして振り子のように何度も頭を下げるルーケンとハンナを見習い、彼は深々と頭を垂れた。
そんな彼を静かに見つめるダイアン姫は――スゥッと目を細め、静かな足取りで彼の傍へと歩み寄る。
「……頭をお上げください、旅のお方。お名前を伺っても?」
「……ダタッツ、と申します」
姫の言葉に応じて顔を上げるダタッツは、彼女の蒼い瞳と視線を交わす。
一方、ダイアン姫は片膝を着いているダタッツの姿を、品定めするかのような目で見つめていた。
胸に当てられた拳。垂直に突き立てられた銅の剣。整然とした佇まいの片膝立ち。
そのみずぼらしい旅人とは掛け離れた一面を、彼女は暫し凝視していたのだ。
「ダタッツ様……ですか。この度は帝国兵の横暴からわたくしの至宝を守って頂き、誠にありがとうございます。頭から石畳に落ちたと伺っておりますが、お怪我の方はいかがでしょうか」
「えぇ、これくらいなら全然平気です。頑丈さだけには自信がありますから」
「そうですか……。ご無事なようで、本当に何よりです」
「ははっ、ありがとうございます。――しかしダイアン姫。どうしてこちらへ……? それにも、こんな夜更けに……」
「ダ、ダタッツ君!」
そんな彼女に対し、ダタッツは王女がこんな夜更けに尋ねてきた理由を問うていた。その発言を慌てて咎めるルーケンを掌で制し、ダイアン姫はゆっくりと口を開く。
「よ
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