第4話 勇者の資質
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回し、思うままに彼女の肢体を蹂躙していった。
クセニア以上に豊満な胸を、形が変わるほどに強く揉みしだき、その先端を指先で撫でる。黒い髪とは対照的な白い肌を、舌先で味わうように隅々まで舐め回す。
その度に荒くれ者達は歓声を上げ、女性兵達は悲鳴を上げる。クセニアも、何もできない事実に耐えかね、目を伏せていた。
「う、く……ぅん……」
「へへ、いいねぇ。これだから略奪はやめられねぇ。さて――そろそろ、あんた達のカラダを皆に見てもらおうぜ?」
「……!」
すると――マクシミリアンの手が、二人の胸を辛うじて隠している布を鷲掴みにする。彼の膂力を考えれば、少し手に力が入るだけで簡単に破けてしまうだろう。
その先に待ち受けているであろう光景を予想し、傭兵団は怒号にも似た歓声を上げ、反乱軍からは悲しげな声が響いてくる。
「や、やめなさい!」
「やめっ――!」
グーゼルとクセニアの反抗も虚しく。胸を隠す布が、紙切れのように破かれた。
――と、誰もが信じて疑わなかった。
しかし。
「ぎゃあぁ!」
「なんだてめっ――ぐぎぃあ!」
マクシミリアンの背から、傭兵達の悲鳴が聞こえた時。赤毛の巨漢は布から手を離すと、表情を一変させて振り返る。
感じたからだ。ただならぬ、強者の気配を。
「……話に聞いたことがある。かつて、帝国将軍として名を馳せていながら、不要な略奪を繰り返す余り帝国から追放された騎士がいたと」
「……!」
悲鳴が聞こえた方向――玉座の間から、男性の低い声が響いてくる。聞き覚えのあるその声に、グーゼルはハッとして振り返った。
(そんな……どうして!? あんなに……あんなに酷いことを言ったのに! 許されるはずが、ないのに!)
そして――彼女の視界に、ボロ布で作られたマントを纏う男の影が現れる。
(どうしてよ――ダタッツ!)
「その男は大陸を放浪し、ならず者達を掻き集め、一大傭兵団を組織したという。――そして今。その男は帝国勇者の名を騙り、帝国の影響下にない国々を相手に略奪を繰り返している」
「ほう、よく知ってるな。――何者だ?」
その影に向かい、マクシミリアンは一気に間合いを詰め、斧を振り下ろす。ボロ布の男はそれをかわすこともなく、手にした鉄の盾で受け流すと――鮮やかにジャンプし、距離をとった。
「何者でもない。そう珍しくもない、流浪の一戦士だ」
「珍しくない、だと? オレの攻撃を凌げる奴がか? 嘗められたものだな」
マクシミリアンは額に血管を浮き上がらせる。怒りに任せ、水平に振るわれた斧の一閃は空を裂き――ボロ布の男は、マクシミリアンの頭上を飛び越して背後をとった。
「帝国式投剣術――
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