暁 〜小説投稿サイト〜
ダタッツ剣風 〜中年戦士と奴隷の女勇者〜
第3話 女勇者の敗北
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
茶よ……!」
「奴らの注意はあたしに向いてるわ。あたしが時間を稼ぐから、皆はその隙に包囲網を抜けて体勢を立て直して。広場に出れば後方の部隊と合流できるわ」
「でも! オリアはどうなるの!」
「大丈夫! これでもグーゼル様から直々に小隊長を任されてる身よ? そう簡単にやられたりしないわ!」

 不安げな表情の仲間達に向け、オリアと呼ばれる少女は太陽のような笑顔で応えて見せた。……だが。彼女と付き合いが長い仲間達は、その真意にはとうに気付いている。
 この少女は今、自分達を逃がすために捨て石になろうとしているのだと。それを悟らせないために、この状況下でありながら……何でもないことのように笑っているのだと。

「勇ましいねぇ。その顔がどう歪むか……楽しみでたまんねぇッ!」
「……さあ行って! 何としても生き延びて、小隊長としての命令だからねっ!」
「オ、オリアーッ!」

 そんな彼女目掛けて、ならず者達が一斉に飛び掛かる。その悪意の波に、少女は槍を手に真っ向から向かっていった。その後ろ姿に手を伸ばし、女性兵達は悲鳴を上げる。

「……でぇいッ!」
「ごはッ!?」

 オリアの一閃は、男達の読みを超える速さで獲物を捉え……一瞬にして、向かってきた傭兵の一人を貫いてしまった。だが、仕留められたのはたった一人。
 彼女の背後には、何人もの新手が迫っている。

「く……!」
「はい残念、快進撃もここまでぇ!」

 咄嗟に背後に振り返り、迎撃に移ろうとするが……切っ先を向ける前に、彼女の眼前に剣の刃が迫っていた。反射的に柄で受け止め、致命傷は回避した彼女だったが、その衝撃により壁まで吹っ飛ばされてしまう。

「あぐっ!」
「へへ、ゲームセット。惜しかったなぁ嬢ちゃん」

 そして。
 勢いよく壁に打ち付けられ、身動きが取れなくなった彼女に……野獣の影が忍び寄る。

「あっ……! い、いやぁ!」
「いい反応だが、ちっとばかり遅かったなぁ。さぁて、お楽しみと行くか!」
「オ、オリア!」

 プロテクターを外され、服を脱がされ。あられもない姿にされていく槍使いの少女。恐怖心から助けに入ることもできず、女性兵達は目を伏せることしかできなかった。
 そんな彼女達を覆い尽くす傭兵団の笑い声が、反乱軍の心を追い詰めていく。そして、露にされた自分の胸に手を伸ばすケダモノの手を前に、オリアの気丈さが崩れかけ――

「あ、え?」

 ――た、その時。
 オリアを辱めていた男の影が、真っ二つに裂け。

「……そこまでだ」

 彼が立っていた場所が、真紅に染め上げられた。次いで、その背後から男の呟きが響いてくる。

「え……ッ!?」
「て、てめぇ新手か!」

 そして、その場に現れたボロ布を纏う男に
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ