第3話 女勇者の敗北
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茶よ……!」
「奴らの注意はあたしに向いてるわ。あたしが時間を稼ぐから、皆はその隙に包囲網を抜けて体勢を立て直して。広場に出れば後方の部隊と合流できるわ」
「でも! オリアはどうなるの!」
「大丈夫! これでもグーゼル様から直々に小隊長を任されてる身よ? そう簡単にやられたりしないわ!」
不安げな表情の仲間達に向け、オリアと呼ばれる少女は太陽のような笑顔で応えて見せた。……だが。彼女と付き合いが長い仲間達は、その真意にはとうに気付いている。
この少女は今、自分達を逃がすために捨て石になろうとしているのだと。それを悟らせないために、この状況下でありながら……何でもないことのように笑っているのだと。
「勇ましいねぇ。その顔がどう歪むか……楽しみでたまんねぇッ!」
「……さあ行って! 何としても生き延びて、小隊長としての命令だからねっ!」
「オ、オリアーッ!」
そんな彼女目掛けて、ならず者達が一斉に飛び掛かる。その悪意の波に、少女は槍を手に真っ向から向かっていった。その後ろ姿に手を伸ばし、女性兵達は悲鳴を上げる。
「……でぇいッ!」
「ごはッ!?」
オリアの一閃は、男達の読みを超える速さで獲物を捉え……一瞬にして、向かってきた傭兵の一人を貫いてしまった。だが、仕留められたのはたった一人。
彼女の背後には、何人もの新手が迫っている。
「く……!」
「はい残念、快進撃もここまでぇ!」
咄嗟に背後に振り返り、迎撃に移ろうとするが……切っ先を向ける前に、彼女の眼前に剣の刃が迫っていた。反射的に柄で受け止め、致命傷は回避した彼女だったが、その衝撃により壁まで吹っ飛ばされてしまう。
「あぐっ!」
「へへ、ゲームセット。惜しかったなぁ嬢ちゃん」
そして。
勢いよく壁に打ち付けられ、身動きが取れなくなった彼女に……野獣の影が忍び寄る。
「あっ……! い、いやぁ!」
「いい反応だが、ちっとばかり遅かったなぁ。さぁて、お楽しみと行くか!」
「オ、オリア!」
プロテクターを外され、服を脱がされ。あられもない姿にされていく槍使いの少女。恐怖心から助けに入ることもできず、女性兵達は目を伏せることしかできなかった。
そんな彼女達を覆い尽くす傭兵団の笑い声が、反乱軍の心を追い詰めていく。そして、露にされた自分の胸に手を伸ばすケダモノの手を前に、オリアの気丈さが崩れかけ――
「あ、え?」
――た、その時。
オリアを辱めていた男の影が、真っ二つに裂け。
「……そこまでだ」
彼が立っていた場所が、真紅に染め上げられた。次いで、その背後から男の呟きが響いてくる。
「え……ッ!?」
「て、てめぇ新手か!」
そして、その場に現れたボロ布を纏う男に
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