第2話 恥辱の姫君
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だが、彼らの瞳には確かな希望が灯されている。非力なはずの彼らの表情は、歴戦の猛者にも勝る勇ましさを放っていた。
――彼らにとって。グーゼルの存在は、それほどまでに大きいのだ。そして、それゆえに緊張もしている。
次の作戦が、この戦いの命運を握っているのだから。
「だから現状を打ち破るには――反乱軍の陽動に乗じ、私一人で城に忍び込んで、奴らのボスである帝国勇者マクシミリアンを討つしかないの。今年に入って、ついにそのルートも掴んだわ」
「しかし……危険過ぎるのではないか。万一、捕まれば命はないぞ」
「危険など、承知の上よ。正攻法では、奴らには勝てない。……私は、この国の勇者なの。勝たなきゃ、意味がないのよ」
ダタッツの追及に対し、グーゼルは表情を曇らせながらも――主張を変える気配を見せない。
「――それはさておき。子供達を助けてくれたことには礼を言うわ。それと……疑ってごめんなさい。武装してこの森に近づいてきたものだから、つい……」
「構わない。自分も結局は戦おうとしていたからな。お互い様、だ」
「ふふ。あなたって随分変わってるのね。巻き込まれただけなのに、嫌な顔一つしないなんて」
「荒事に出くわすのには慣れているからな。……それに、こうなってしまった以上『巻き込まれただけ』と他人事にするわけにも行くまい」
「そうね。私達としても、腕に覚えがある人が一人でも多い方が助かるわ。……けど」
グーゼルはそこで一度言葉を切ると、席を立って踵を返してしまった。もう、話すことなどない、と言わんばかりに。
「これはあなたが言った通り、危険過ぎる戦い。この国の出身でもないあなたを、付き合わせるつもりはないわ。例え命に代えても、私は帝国勇者を倒して見せる」
「……あくまで、自分達だけで解決したいと言うのか。グーゼル殿、確かにその勇ましさは賞賛に値する。だが、君がこの国の勇者であるならば……無謀な戦いはするべきではない。例え周りが勝ちを焦っていても、君だけは冷静であるべきだ」
「……なんですって?」
ダタッツの言葉に、グーゼルは鋭い眼光で振り返る。その剣呑な空気に触れ、彼女の強さを知る兵達は揃って息を飲んだ。
「ただ強いだけの者を……力で人の意思を押さえ付ける者を、勇者とは呼ばん。件の帝国勇者という男は、勇者と呼ぶには値しない」
「……」
「結果だけを追い求め、自分の価値を見失う者も同じだ。君は、命に代えても――と言ったが。そうやって人々を守ったところで、リーダーを失った彼らは進むべき道を見失ってしまうだろう」
「だから……なんだというの」
「勇者とは、強力な戦闘力の持ち主ではない。誰かに希望と、勇気を与えられる人間のことを言うのだ。万一君を失えば、人々は希望を失う。その重さを、考えたことはあるか
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