第1話 森の出会い
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か?」
「思わないわ。十年前、貴様らにこの国を侵略され、乗っ取られた屈辱――今でも、昨日のように覚えてる」
「やれやれ。かつて帝国勇者と恐れられた我らのボスに、敵うわけないってのに。この俺様にすら今まで一度も勝ったことがないくせして、どうやってボスを倒そうってんだァ?」
「――甘く見ないで。昔の私とは、一味も二味も違うんだから」
「違ってるのはカラダだけじゃねぇのか? 十年前はションベン臭ぇガキとしか思っちゃいなかったが、なかなかどうして、いい女に育ったじゃねぇか。今のお前なら、俺様の愛人にしてやってもいいんだぜ」
女剣士――グーゼルと対峙するバルタザールと呼ばれる巨漢。彼らは好色な視線で彼女の肢体を舐め回し、舌舐めずりをする。
その粘つくような眼差しに、グーゼルはさらに憤るように一歩踏み出す。今にも、斬り掛らんとする勢いだ。
赤マフラーの男は、そんな彼女の背中を静かに見守っている。
「バルタザールの旦那ァ! もう犯っちゃってもいいっすかァ!?」
「何年もお預け食らって、そろそろ我慢の限界なんすよォ!」
「……構わねぇが、せっかくの上玉なんだ。あんま傷だらけのカラダにすんじゃねぇぞ」
「へっへへ。わかってますよォ、ちょっと骨の一、二本折れてもらうだけっすからァ」
だが、彼女と最初に戦おうとしているのはバルタザールではなく、その両脇に控えていた二人の荒くれ者だった。
彼らはグーゼルの膨らんだ胸元に厭らしい視線を注ぎながら、ジリジリとにじり寄る。その姿に恐怖する子供達は、涙を浮かべてグーゼルの影に隠れた。
「……言っておくけど。ここまで踏み込んできた以上、生かして帰すわけにはいかないわ。今までのように、追い払うだけじゃ済まさないけど――覚悟はいい?」
「へっ、覚悟すんのお前だぜグーゼル! 女に生まれたこと、後悔させてや――あ、え?」
そして、荒くれ者達がグーゼルに飛び掛かる瞬間。眩い一閃が、彼ら諸共周囲の木々を切り裂いて行く。
上半身と下半身を切り離された彼らは、木々が薙ぎ倒されていく音を聞きながら、べしゃりと地面に墜落していく。斬られたことにも、気づかぬまま。
「公国式闘剣術――征王剣」
横一閃に振り抜かれた剣が、動きを止め――荒くれ者達が事切れた後。グーゼルは静かにそう呟くと、改めてバルタザールと対峙する。
「ほ、ほう。やるようになったじゃねぇか。確かに十年前とは違うな」
「次は貴様の番よ。言っておくけど、逃がすつもりはないわ」
「逃げる必要など――ないわァッ!」
バルタザールは焦燥を隠すように、鉄球を振り上げてグーゼルに襲い掛かる。だが、舞い上がった鉄球が敵方目掛けて墜落するよりも疾く、彼女は剣の間合いま
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