暁 〜小説投稿サイト〜
モンスターハンター 〜故郷なきクルセイダー〜
最終話 始まったばかり
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ろうけど、デンホルムもね」
「あっはは! ま、そんな気はしてるよ。――とにかく。クサンテさん、短い間だったかも知れなかったけど、お疲れ様。いい土産話、ご家族に持っていってあげなよ」
「ええ。お父様もお母様も、アダルバート様のことはとても気に入っていらしたの。敵を討てたと知れば……きっと、お喜びになるわ」

 誇らしげであり――どこか、切なげ。そんな笑顔を浮かべるクサンテを見上げるギルドマスターは、口に咥えたキセルからリング状の煙をポンポンと吹き上げると――ふと、思いついたように口を開く。

「おぉそうじゃ。クサンテさんや、最近いい情報が入っての」
「そうなの? ……ふふ。でも、もういいわ。その情報は、これからも戦って行く次代のハンターに伝えてあげて――」
「アダルバート・ルークルセイダーが、この地方のどこかで生きておるそうじゃ」
「――えッ!?」
「なぁっ……!?」

 その爆弾発言に、クサンテだけでなく――隣で聞いていたアダイトまでが、目を剥いて驚愕していた。いきなり何を言い出すんだ、と怒り顔の彼に対し、老人はいたずらっぽい笑みを浮かべる。

「ア、アダルバート様が……!? 確かなの!? その情報ッ!」
「おう、確かも確か。何せ、ギルド本部からせしめた情報じゃからのう。信憑性はあるぞよ」
「生きておられる……あぁ、アダルバート様がっ……!」

 膝から崩れ落ち、泣き崩れるクサンテ。その様子を愉快そうに見遣るギルドマスターの首根っこを掴み、アダイトは小声で怒鳴りつけた。

(何を考えてんだあなたは! もうちょっとで彼女達が平和に暮らせるようになるって時にッ!)
(ほっほっほ。幼気な少女の純愛を、十年弄んだ罰じゃ。ちっとは、女心に苦労してみい)
(何を言ってるのかさっぱりわからな――ッ!?)

 だが、その怒りの言葉が最後まで続くことはなかった。クサンテが急に立ち上がり、デンホルムや村人達がいる場所まで爆走したからである。
 その行為から、これから始まる事態を想像し――アダイトは、観念したようにため息をつく。その横では、してやったりの表情で小さな老人がケタケタと笑っていた。

「地方――となると、まずはこの近辺からね! だけど、そのためにはまず捜索費用を稼がなくては!」
「ひ、姫様? ギルドマスターと、一体なにを話されて……?」
「何をモタモタしてるのデンホルム! ちんたらしてる暇があったら、さっさとクエストを用意しなさい! とにかく報酬が高額な奴からッ!」
「姫様!? 突然何を!?」
「グダグダ言ってないで、さっさと取って来るッ!」
「は、は、はいただいまッ!」
「……なんだかよくわからねぇが、あんた達、まだ村に居てくれるってことか!?」
「わぁーい! おねーちゃんと一緒ぉ!」

 いき
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