第7話 あの日の悪夢
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悲鳴が響き渡った。確実に――ダメージを与えている。
「やったか!?」
「いえ……ダメよ! あれだけじゃ足りない!」
だが、それはドスファンゴを怒らせる結果も招いていた。身体を起き上がらせた大猪は、鼻先から湯気のように白い息を噴き出し、さらに速い突進攻撃を繰り出してくる。
「ぐッ!」
そのスピードはアダイトの予測すら超えていたのか――咄嗟に回避した彼の胸を、雄々しい角が掠めていた。しかも、それだけの接触であるにも拘らず、アダイトの身体はまるでボールのように吹っ飛ばされている。
(落とし穴を使うか……? いや、三人揃っての集中攻撃が出来るタイミングを待たなければ……!)
そこから素早く立ち上がった彼が、鋭い眼差しでドスファンゴを射抜いた時。
「アダイト、待たせたわ!」
「加勢するぞッ!」
ブルファンゴを撃滅したクサンテとデンホルムが、ついに合流した。
オーダーレイピアの切っ先と、ディフェンダーの刀身が太陽の輝きを浴び――眩い輝きを放つ。
「――よし! なら落とし穴に誘導しよう! 三人で一気に叩いて……!?」
だが。用意した作戦通りには――行かなかった。
こちらに駆けつけてきたクサンテの背後には――生き残りのブルファンゴが迫っていたのだ。
「クサンテぇえッ!」
「えっ――!?」
アダイトは、今までクサンテが聴いたことのない、真剣な声色で叫ぶと――彼女を突き飛ばした。
そして。
「ぐあッ……!」
ブルファンゴの突進を正面から受けた、彼の体は――激しく吹っ飛ばされていく。そう。
――崖の、外まで。
「し、しまった……生き残りかッ!」
「あぁ、あっ……!」
それを目撃したデンホルムは、すぐさまディフェンダーでブルファンゴを両断する。
――だが、もはや全てが手遅れであった。
ブルファンゴに崖から突き落とされるはずだったクサンテ・ユベルブは――アダイト・クロスターを犠牲に、生還を勝ち取ったのだから。
――そして。
「いやぁぁあぁあぁあッ! アダイトぉおぉおぉおッ!」
あの日の絶望をフラッシュバックさせたクサンテの、嘆きの絶叫が――この狩り場に轟くのだった。
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