第7話 あの日の悪夢
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ム自身も思うところはあるのだ。
――そして。それから、数刻が過ぎた時。
ついに――事態が動いた。
「――来た!」
「えっ……?」
「なんとっ!?」
一瞬で目の色を変え、虫取り網を片付けたアダイトは、今までにない鋭い眼差しで森を見やる。その視線の先では、小鳥達が群れをなしてそこから飛び去る光景が広がっていた。
自分より強い存在が近づいてきた時、動物は本能でそれを感知する。小鳥達の挙動に反応したアダイトは、すぐさま腰の片手剣を引き抜き――眼前の森を視線で射抜いた。
その直後、クサンテ達の近くで草にかぶりついていたアプトノスの群れが、一斉に動き出した。それを目の当たりにして、クサンテとデンホルムもようやく事態が動いたことに気づくのだった。
やがて、一拍遅れた彼ら二人がそれぞれの武器を手にした瞬間。
「ブモオォオォオッ!」
森の木々を薙ぎ倒し――ついに、白い体毛と灰色の肉体、そして二本の角を誇る――ドスファンゴが現れたのだった。
けたたましい叫びと共に、速攻の突進を仕掛ける巨体。一瞬にして視界を埋め尽くす、その体当たりを前に――アダイトは素早い身のこなしで側方に転がり、回避した。
「アダイト! ――くッ!?」
「ブルファンゴかッ!」
だが、敵はドスファンゴだけではない。彼の配下であるブルファンゴの群れまでもが、次々と森から飛び出してきたのである。森の中から、すでにアダイト一行に目をつけていたのだ。
ブルファンゴの突進を、辛うじてかわすクサンテ。その背後を狙う別の個体を、デンホルムのディフェンダーが叩き斬った。
そのあとに続くように、クサンテもオーダーレイピアの連撃で、すれ違いざまにブルファンゴ達を切り裂いて行く。
上がり立てとはいえ、上位ハンターの一角。彼らの実力は、伊達ではない。
「姫様! 早くこやつらを始末せねば、アダイトが持ちませぬ! ドスファンゴを前にあやつ一人では!」
「わかってる! ……待っててアダイト、必ず迎えに行くからッ!」
次々とブルファンゴを仕留めて行くクサンテの視線の先には――ドスファンゴの猛攻を、ひたすらかわし続けるアダイトの姿があった。
「ちっ……!」
回避を繰り返すうち、崖近くまで追い込まれたアダイト。追い詰めた敵にとどめを刺そうと、ドスファンゴが迫る。
だが、それで終わりではなかった。アダイトは踵を返すと、閃光玉を投げ――ドスファンゴを昏倒させたのである。
「――さ、反撃だ!」
そして、素早く気絶状態のドスファンゴの近くに大タル爆弾を設置して行く。二つの爆薬を設置した彼は、足早にその場を離れると――そこへ目掛けて、石を投げつけた。
刹那。爆炎が巻き起こり、その向こうからドスファンゴの
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