第6話 クエストへの出発
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――そして、翌朝。
クエスト出発を直前に控えたハンター達を遠巻きに見つめる人々は、普段とは違う様子で彼らを見ていた。
すでに昨晩の出来事は、概ね知れ渡っている。狭い村であるがゆえに、情報の周りも早いのだ。
この村に我がもの顔で君臨していた、悪辣なハンターをギルドナイツの尖兵が一掃した――という話は有名である。尤も、村人達はクサンテ達がそうであると思っているようだが。
「……何なのよ。私達に向けられてる、この妙な尊敬の眼差し」
「どうやら、我々があやつらを一網打尽にしたギルドナイツだと思われているようですな。確かに、格好で言えば我々の方が『騎士』らしいでしょうし、無理もありますまい」
「却って心苦しいわね……私達は、ただ捕まっていただけなのに」
近寄り難いが、村から悪人を追い出してくれた英雄だ。――そんな目でこちらを見つめる村人達に、クサンテの表情が苦々しいものに変わる。
「それにしても遅いわね。もうすぐ集合時間だけど……」
「あんないい加減な男は信用ならん――と言ってやりたいところですが、あれでもギルドナイツに与する騎士ですからな。もう少し待ちましょう」
早くこの場を脱したい、と言わんばかりに、クサンテは青空を仰ぐ。燦々と輝く太陽の光が、彼女の心を微かに癒しているようだった。
――その時。
「ごめーん! アイテムポーチ整理してたら、遅くなっちゃって!」
「……来たか」
「いいえ、私達の方が早過ぎたみたいだし、気にしなくて、も……」
息を切らして、能天気なハンターがようやく駆けつけてきた――のだが。明るく笑顔で出迎えようとしていたクサンテとデンホルムは、その場で固まってしまった。
それもそのはず。彼は、相変わらずのハンターシリーズにハンターナイフという格好だったのだから。
「ちょっと待ちなさい! その装備で上位ドスファンゴに挑もうというの!?」
「今度の相手はモンスターだ! わざわざそんな貧弱な装備で欺く必要などないのだぞ!?」
「えっ? いや、別に欺くためとかじゃなくて、これがおいらの標準装備なんだけど……」
あっけらかんと言い切るアダイトの発言に、二人は絶句してしまう。ギルドナイツと繋がりがある上位ハンターでありながら、こんな装備しか持っていない――と言い張るのだから。
「……じょ、冗談だろう? 本当にそれで今までやって来たのか?」
「例え寄生でも上位まで来たというのなら、イャンクックやリオレウスとも戦ったでしょ? その時の素材は?」
「売った」
「……」
昨晩の華麗な救出劇を前に、彼に対する評価を改めた二人だったが……再び、評価を再考する必要に駆られてしまうのだった。
本当にこいつを連れて行っていいのか――と。
「にーちゃん、
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