暁 〜小説投稿サイト〜
モンスターハンター 〜故郷なきクルセイダー〜
第5話 夜に想う、愛する人の面影
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だが――そうして見続けるうち、いつしか彼女の瞳は力を失い、やがては伏し目がちになり。物憂げな表情に変わって行った。

「……?」
「……とにかく。明日はよろしくお願いするわ。では、これで」

 その様子にアダイトが首を傾げると――クサンテは彼から目を背けるように、その場を立ち去ってしまった。そんな彼女のあとを追うように、デンホルムもゆっくりと歩き出して行く。

「……姫様は、貴殿に坊っちゃまの面影を重ねておられるようだ。髪や眼の色も同じであるし、確か……貴殿は二十歳だったな? 生きていらっしゃれば、坊っちゃまも同い年だったはず」
「そうか……」
「ま、凛々しさは坊ちゃまの方が百倍上だがな! では、これにて失礼する」
「あはは……じゃ、明日な」

 そして、最後にアダルバートという少年を持ち上げてから、デンホルムは足音を踏み鳴らし去って行った。

 自分以外は誰もいなくなり、辺りは静寂に包まれる。梟の鳴き声と川のせせらぎだけが残る、この静けさの中で――アダイトは満月の夜空を仰いだ。

「面影、ね。そりゃあ……重なるだろうさ」

 その瞳には――彼の記憶に残る、幼気な少女の姿が映されていた。

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