第4話 恥辱を受けし姫君
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ドナイツかッ!?」
「ギルドナイツ!?」
レザーシリーズの男が叫んだ言葉に、クサンテも思わず声を上げる。
――「ギルドナイツ」と言えば、ハンターズギルド直属の精鋭ハンターであり、ハンターを取り締まるハンターとして有名な者達の総称だ。
極一部の優秀なハンターしかなれないという、そのギルドナイツだったとするなら――情報を全て正確に掴んでいることにも、ハンターでありながら対人戦にも精通していることにも説明がつく。
「よくわかったね。ま、正確にはその使い走り――兵隊なんだけどな」
「なにぃ……!?」
「ギルドナイツは少数精鋭だからね。彼らを必要としている人は大陸中に大勢いるし、ここに人員を割く余裕はないんだよ。だから、予備のおいらがここに来たってわけ」
「ギルドナイツの刺客ってことか……道理で……!」
「――ってことだからさ。大人しくお縄についてくれないかな。おいらだって、同業者とケンカなんてしたくないし……」
「ざけんなぁあぁあッ!」
レザーシリーズの男は、アイアンランスの突進で襲い掛かるが――軽やかなジャンプでそれを飛び越えたアダイトの膝蹴りを顔面に喰らい、後頭部から転倒しつつ小屋を滑り出て行く。草原まで滑ったところでようやく止まった彼は、すでに白目を剥いて失神していた。
「くっ……!」
「な? もういいだろう、ケンカは」
「う、動くな! この女がどうなってもッ――がッ!?」
残ったチェーンシリーズの男は、剥ぎ取り用のナイフをクサンテの喉に当てようとする――が、威勢を取り戻した彼女に腕を噛まれ、思わずナイフを取り落としてしまう。
「おがッ!」
その一瞬のうちに、鉄の盾を顔面に投げつけられたチェーンシリーズの男は、敢え無く撃沈。頭の上に星を飛ばし、昏倒してしまうのであった。
「――はい、一件落着。もうこんな仕事はごめん被りたいね。人間同士の諍いほど、疲れるものはない」
「……あ、あなたは……」
「へへ、言ったでしょ? 絶対役に立つってさ」
「……」
倒れた男達からこちらに目を移し、子供のような笑顔を浮かべるアダイト。その姿に、あの日の想い人を重ね――クサンテは、目を伏せる。
(アダルバート様……許して。私、こんな男に、一瞬でもあなたを……)
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