第3話 不思議なハンター
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ように彼の肩を押し――黒髪のハンターは尻餅をついてしまった。
それに構うことなく、二人はそのまま去ってしまった。近寄りがたい雰囲気を放つ彼らを見る村人達は、怯えるように道を開けて行く。
「参ったなぁ、もう……」
そんな彼らの背を見送り、アダイトは埃を払いながら立ち上がる。苦笑いを浮かべる彼の瞳は、出来の悪い妹を見守る兄のような色を湛えていた。
――その後。昼食を摂るため、近場の寂れた料亭に訪れたクサンテ達は。
「よう、上位ハンターさん達。ここ、いいかい?」
「あなた達は……」
集会所にいた下位ハンター達に、声を掛けられていた。自分達以外に客がおらず、ガラガラであるにも拘らず――自分達が許可するより先に向かいの席に腰掛ける彼らに、デンホルムが兜の奥で眉を吊り上げる。
「貴様ら! 下位の末端の分際で、クサンテ様になんたる無礼を……!」
「まーまー、落ち着いてくれよ。俺達は別に変なことは企んでねぇ。さっきはやらしー目で見て悪かったよ。あんたみたいなべっぴん、ここらじゃ死んでもお目にかかれねぇからよ」
「……」
白旗を振るようにひらひらと手を振り、無抵抗の意を示す男達。彼らの様子から危険はないと判断したのか、クサンテは無言のままデンホルムを片手で制した。
(この連中の近くに居たくないから、わざわざ集会所からも離れて、こんな潰れかけの料亭に来たっていうのに……)
――内心で、これ以上ないほどのため息をつきながら。
一方。そんな彼女の制止を受けて渋々と引き下がる巨漢を見遣り、男達は再び口を開く。
「実を言うとよ。最近この辺りを荒らし回ってるドスファンゴには俺達も困ってたところなんだ。下位の俺達じゃ受注すら出来ねぇし、最近やっと上位ハンターが村に来た――と思ったら、あんなヤツだし。あんた達みたいなマトモなハンターが来てくれて、心底ホッとしてんのよ」
「……」
「つーわけだからさ。前祝いってことで、一杯奢らせてもらいたいのさ。偉大なる先人への礼節――ってところでよ」
「……そう。ま、いいわ。そこまで言うなら、有り難く頂いておくわ」
「ひ、姫様! よろしいのですか……!?」
「構わないわ。怪しいことがあれば――その場で叩き斬るまでよ」
あくまで冷ややかな表情は崩さず、クサンテはそう言ってのけた。そんな彼女に気を良くしたのか、男達は上機嫌に次々と料理を注文していく。
やがて、クサンテ達が囲むテーブルの上に、大量の馳走が乗せられた。
(……変なことをしてる気配はなかった。なら、問題はなさそうね)
その間、男達の細かな仕草にまで注目していた彼女だったが、彼らに怪しい部分が見られなかったことから、問題はないと判断していた。
そして、クサンテとデンホルムの前に
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